「子供の新学期や、転勤で引っ越しがあったりと、環境の変化によるストレスでたまった疲れが出やすいのが、ちょうどこの時期。めまいとストレスには強いつながりがあり、春から初夏にかけ、症状が出る患者さんも多いんです」

 

そう話すのは、これまで10万人以上のめまい症状を改善させてきた、横浜市立みなと赤十字病院・耳鼻咽喉科部長の新井基洋先生。そこで今回は、新井先生が実際に指導している、4種の「脱・めまい体操」を教えてもらった。

 

【1 目だけを動かす「早い横」体操】

「肩の高さで、肩幅よりやや広めに両手を開く。腕をしっかりと伸ばし、親指を立てる。頭は動かさず、目玉だけを動かして左右交互に親指の爪を見る。1往復、2秒程度の速さで、数を数えて、20往復する」

 

【2 目と腕を動かす「ゆっくり」体操】

「顔が動かないよう、左手の人さし指であごを押さえ、右手をまっすぐ伸ばして、親指を立てる。右手を左右それぞれ30度ほどの幅でゆっくり動かし、親指の爪を目玉だけで追う。数を数えて、20往復する」

 

【3 首だけを動かす「ふり返る」体操】

「体の正面に右腕を伸ばし、親指を立てる。親指の爪から目を離さないようにして、首を左右に30度ずつ振る。数を数えて、20往復する。首の動きといっしょに指を動かしてしまわないように気をつける」

 

【4 首だけを動かす「上下」体操】

「体の正面に右腕を伸ばし、親指を体の左側を指すように立てる。このとき、親指の爪は体の中心にくるようにする。親指の爪から目を離さないようにして、首を上下に30度ずつ振る。数を数えて、20往復する」

 

「体操の中で、苦手なものを続けることが、めまい改善につながります。早ければ1カ月ほどで効果が現れます。長年、めまいに悩んできた人は、効果が出るまで時間がかかるので、根気よく続けましょう。大事なのは『めまいを治したい!』という強い気持ちを持つことです」

 

新井先生がそう強調する理由は、小脳の仕組みにある。小脳の能力は、「治したい」という強い意志がないと高まらないというのだ。そのため、ふだんの生活でも、ストレス発散が肝心。

 

「ただし、アルコールでストレス解消、という方もいると思いますが、飲みすぎは小脳の機能に影響します。たしなむ程度にとどめてください。めまいは誰にでも起こりうる病気。内耳は40代から、小脳は50代から、加齢により機能が落ちてくるので、『今は大丈夫』という人も、予防のためリハビリに取り組んでは」

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