「最近、『予定や約束をすっぽかしてしまった』とか『薬を飲み忘れてしまった』、『知り合った人の名前が覚えられない』といって病院を訪れる方が特に増えています」
そう話すのは、認知症を専門に、これまで多くの記憶障害の方の検査や訓練をしてきた、千葉労災病院リハビリテーション科の言語聴覚士である安田清さん(60)。親の認知症も心配だが、あなたも、最近“うっかり”が増えていませんか?そこで、もの忘れが気になる人におすすめの生活習慣を紹介。
【鍵や携帯電話など、日常使うものの置き場所を決める】
鍵や携帯電話など日常使うものを入れる箱(100円ショップなどにある)を用意して、必ずそこに入れるようにする。鍵などの箱は玄関先に、メガネなどは居間に、それぞれ置く。面倒くさがらず、決めたところに置く習慣を。
【薬を飲み忘れないよう、薬ケースなどを使う】
食前にテーブルに出しておき、食後すぐに飲むことがオススメ。外出先にはマイ箸の箸入れの中に薬を入れるのも◎。カラ袋を捨てずに置いておくと、飲んだ確認ができる。
【火災防止のため、調理器具などに火は使わない】
火を使わない調理器具(IHヒーターなど)がベストだが、火をつけるタイプのコンロは空焚き防止センサーつきに。火をつけるときは必ずタイマーをつける。来客や電話などの際には、必ず火を消す。「火を消したか」などの張り紙も効果的。
【ICレコーダーや携帯電話、スマートフォンを使う】
携帯電話やスマートフォンはアラーム機能を使い、予定の時間をセットする。特にICレコーダーはアラーム再生機能があると、声で時間を教えてくれるので便利。前の晩に必ず予定を携帯電話のメモ欄に入力しておき、朝起きたら確認する習慣を。
【散歩することで脳を活性化させる】
散歩するときは万歩計をつけるとやる気もアップ!散歩の後、歩数を記録すると、継続する励みになる。散歩コースは『今日は右回り』『明日は左回り』など、日替わりにするのも気分転換にもってこい。日記やデッサンのネタを探しながら歩くのもオススメ。
【アルバムを整理する、自分史をつけるのもいい】
古いアルバムを整理し、それぞれの写真にタイトルなどをつけておく。将来的に、記憶の活性化に使うことができる。また、自分の履歴、好み、趣味などを書いておくことや、書店で市販されている「自分史」をつけるのも◎。
【出かけるときはメガネや手帳などを入れるところを決めておく】
出かける際は、ポーチやウエストバッグの中に、メガネや手帳、携帯電話などを入れる場所を決め、必ずそこに入れるようにする。財布や定期券、メガネなどはチェーンや伸縮性のあるひもをつないでおくと安全。
【日記などをつけて記憶の整理をする】
メモや日記に書きこむという動作が、記憶を助けてくれる。カレンダーに大事な用意を書いて、チェックしたり、日めくりの下段のメモ欄を利用するのも有効。
【エンディングノートをつけたり、後見人を決めておく】
万が一のことや、将来に備えて、エンディングノートを書いておく。それに合わせ、日頃から周囲の人に自分のもの忘れの状態を知らせておく。また、後見人や連絡先を決めたり、通帳や財産の管理を相談しておくことも大事。