落語家・桂歌丸師匠(80)の緊急入院が報じられたのは、12月15日のことだった。
「30代のころから患っている肺気腫が悪化したのです。歌丸師匠は’10年2月に肺炎のために入院しています。今回は医師から『このままでは肺炎になる』と、入院を勧められたそうですね」(スポーツ紙記者)
歌丸師匠は、2カ月前の10月末には横浜市内で勉強会に出席し、肺の病気の危険性について講演していた。
「以前は、落語も息苦しかった。(皆さんも)口で呼吸せず、鼻で呼吸する機会を増やして……」
ここ数年、肺炎は日本人の死因の第3位となっており、その多くを75歳以上の高齢者が占めている。また今季はマイコプラズマ肺炎が大流行中で、過去10年で最大の患者数になる可能性もあるという。マイコプラズマとは、ウイルスと細菌の中間的な特徴を持つ病原体だ。幼稚園などで集団感染しやすく、それが家庭に持ち込まれることが多いという。
「閉鎖的な環境で接触頻度が増えると、うつりやすくなるという特徴があります。そこで免疫力が未発達な子どもが集団で過ごす幼稚園や保育所などで発生しやすいのです。年末年始はお孫さんが遊びにやってくる機会も多いので、高齢者が感染する危険性も増えるでしょう」
こう語るのは、テレビ番組でもおなじみの秋津医院の秋津壽男先生。では、マイコプラズマなどの肺炎の兆候を見逃さないためには、どうしたらいいのだろう。
「一般的には、高熱と咳が1週間続き、嫌な色の痰が出たら肺炎を疑ってみましょう。ただの風邪なら、まず37.5〜38度ぐらいの熱しか出ません。38.5度を超えた場合はインフルエンザの疑いもありますが、こちらは5日もたてば熱は自然と下がります。ところが肺炎の場合、38〜39度の熱が1週間から10日も続きます。また、ふつうの風邪の場合は乾いた咳や白っぽい痰が出ますが、肺炎では菌と闘った白血球の死骸が出てくるために、痰の色が緑色や煉瓦色(赤みを帯びた茶色)など、嫌な色に。さらに重症化すると胸に痛みを生じます」(秋津先生・以下同)
ただし高齢者は、肺炎になっても高熱が出ないこともあるので要注意!発熱は体が菌をやっつけるための反応だが、高齢者はこの反応さえも鈍くなっているというのだ。
「発熱はなくとも、咳と軽い息苦しさが続き、なんとなく食欲がないためレントゲン写真を撮ったら肺炎だった、というケースも。高齢者は少し怪しいと思ったら、肺炎を疑ったほうが早期発見につながるでしょう。肺炎は、レントゲン写真なら90%以上の確率で診断がつきます。ただの風邪と誤診されないためにも、症状が長期にわたっていることなど、状況を詳しく説明しましょう」