盛り上がりに欠けたまま3月23日に投開票が行われた大阪市長選。6億3千万円もの税金が投じられたことに市民からは「無駄遣いだ!」と怒りの声が止まらない。そもそも、今回の市長選は橋下市長の「大阪都構想」が暗礁に乗り上げたことがきっかけ。「民意を問い直す」と辞任して出直しを図ったが、反対する各会派は『自分勝手だ!』と有力候補の擁立を見送った。結果、橋下市長が当選するためだけの不毛な選挙となったのだ。

 

そんななか、犠牲になっているのが大阪市の子どもたち。大阪市西成区にある『こどもの里』の館長・荘保共子さんによると「子どもの家事業」の補助金が3月で廃止。それにより、市内23カ所にある児童福祉施設「子どもの家」が廃止へ追い込まれたというのだ。

 

「橋下さんは“『子どもの家』と『学童保育』は似た仕組みの場所。それなのに『学童保育』は有償で『子どもの家』だけが無償なのはおかしい”として補助金廃止の決定を決めました。でも学童保育は小学生だけが対象で、それ以外の子どもたちは受け入れません。ここには、いろんな子がいます。幼児もいれば、高校生や障害のある子もいるんです」

 

有償の学童保育と違い、無償の子どもの家は貧困層や複雑な家庭事情の子どもの駆け込み場所としても機能している。そんな事情を無視した廃止に荘保さんは憤りを隠さない。

 

「橋下さんが無駄だと『子どもの家』の補助金を廃止しましたが、それにより浮くお金は年間5千600万円。今回の選挙費用は6億3千万円。もしこれだけのお金があれば2千人もの子どもたちの居場所である『子どもの家』をあと10年以上続けられるんです」

 

前出の市政担当記者によると、これ以外にも橋下氏の辞任の影響でさまざまな新規事業の予算が急きょ凍結されたという。そんななか「市民の為の行政を求める会」が選挙への公金差し止めと支出済み分の返還を大阪市に求め住民監査請求を行った。つまり「6億3千万円は橋下市長個人が支払うべきだ」と求めたのだ。代表を務める辻公雄弁護士が語る。

 

「橋下氏は『民主主義には金がかかる』と言います。でも民主主義は金だけでなく時間もかける必要があるんです。彼はそれを我慢できず今回の選挙を行った。『金をかけてもいいが、時間をかけるのはダメなのはなぜなのか』ということを問いたいですね」

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