「舌を噛んで自殺できる!?」医療ジンクスを検証1
「○○をすると死ぬ」「△△をするとボケない」などなど、まことしやかに伝承されてきた体にまつわる言い伝え。あれって迷信? ホントなの? そこで気になる「医療ジンクス」の数々がウソかまことか、医療の知識豊かな専門家に判定してもらった。検証その1。
●自分の舌を噛んで自殺することができる
時代劇でよく見かけるシチュエーションだ。とくに女性が試みるシーンが多いが、青山歯科医院の歯科医・青山智美先生はこう言う。
「舌の筋肉以外にも、口のまわりには顎などの筋肉もありますから、舌が食道方面に萎縮するということはなかなかありません。窒息死というのはないでしょうね」
つまりこれはウソ。
●コーラを飲み過ぎると、骨が溶ける
前出・青山先生は「この話自体はウソ」としながらもこんな解説を加えてくれた。
「食べ物、飲み物すべて口に入れれば、グルコースによって歯牙表面が溶ける、つまり『脱灰』します。これが進むと虫歯になるわけですね。ただ、歯牙全域にわたって溶けるには、相当な酸性力が必要となります。普通に歯を磨いて、歯牙のメンテナンスをしていれば大丈夫。骨が溶けるまでのことは起こりませんよ」
●骨折したところの骨は、丈夫になる
歯が溶ける話とは反対に、折って治った部分は強くなるというのもよく聞く話だが。医学博士で医療ジャーナリストの森田豊先生は言う。
「じつは骨折が治る過程で、一時的に元の骨より太くなることがあります。しかしこれは、骨折部をつなぐ新しい骨、仮骨ができるため、太く強くなったように誤解されたもの。最終的には元の形と強さに戻るだけで、前より強くなることはありません」
骨折後の修復が不十分だと逆にもろくなることもあるので、要注意。無理は禁物だろう。