「危ない高速バス」生死を分ける”見極め鉄則”後編
4月29日に関越自動車道で起きた高速バスの事故は、乗客45人全員を巻き込む大惨事となった。値段の安さから急成長した高速バス業界だが、今回の事故を含めるとこの2年で死傷者は110人以上に達している。しかし人気の高速バスすべてが危ないワケでは決してない。
「安いツアーを運行させるためのコストダウンは、運転手の賃金とバスの車両整備にしわ寄せがきている」と交通ジャーナリストの鈴木文彦さんは言う。それでは、どうやって「安全な高速バス」を見極めればいいのか?その鉄則を教えてもらった、後編だ。
【5】車体に社名が大きくでているか
「車体に大きく会社名が書いてあることは安全面で重要です。まったく文字が書かれていなかったり、小さく端っこに書いているバスもあります。雑な走り方をしていても、社名が不明だと苦情をどこに言えばいいのかわからない。それは会社のブランドを背負う意識が低く、責任の所在をあいまいにしようという逃げの姿勢の表れです」
【6】タイヤの溝が消えてないか
「安全面を考えている会社は車の手入れもしています。ところが、年に1度取り替える部品を、ギリギリまで替えないバス会社もあります。タイヤの溝が摩耗していないかどうかを確認しましょう」
【7】バスターミナルに専用の乗り降り場があるか
「高速路線バスには乗降のための専用ターミナルがあります。ツアーバスでも、東京・大阪の大都市ではホテルの一画などを借りて自社のバスターミナルや発券所などを確保しているところはいいです。『ウィラートラベル』『平成エンタープライズ』が専用の乗り降り場を準備しています」
【8】運賃に”デラックス版”があるか
現在、高速バス乗客のニーズは二極化しているという。サービスが多少悪くても運賃が安いか、あるいはよいサービスをしてくれるなら高い運賃でもいい、と。
「そのためバスの運賃にバリエーションがあるかどうかも、会社の信頼性を見極める鍵になります。激安の一極化ではなく、デラックス版も提供しているかどうかで、根本となる安全面をおろそかにしていないか、会社の本質が見えてくるのです」
これらの鉄則を参考に「危ない高速バス」を見極めたい。