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再ブームの予感がする韓国ドラマ。そんな“韓ドラ”の凄ワザを、『定年後の韓国ドラマ』(幻冬舎新書)の著書もある、韓国ドラマを15年間で500作品見た、作家・藤脇邦夫が読み解く!

 

【第1回】冬ソナ以前と以後。韓国ドラマに日本人の感情が震えた!

 

2002年に韓国で制作された『冬の恋歌』(邦題:冬のソナタ)は、取り立てて深い理由のないまま’03年に入ってNHK・BSでひっそりと放送された。せいぜい日韓ワールドカップの余波くらいで、事前に特別な予告、情報もほとんどなかったように思う。

 

だが、この一本のドラマが、その後の反響はもちろん、社会問題として、日本の特定の世代意識を完全に変えてしまうとは誰が予想しただろうか。

 

誰が言い出したのか、業界用語なのか不明だが、「冬ソナ以前/以後」という言葉がある。

 

この表現どおり、純韓国産の映像である映画、テレビドラマは日本人視聴者の心象、根源的な生の感情、家族意識の情感を大きく揺さぶり、微妙に変化させた。断言してもいいが、この作品以後、おびただしい量の韓国ドラマが日本に入ってきたが、これに影響を受けていない、作家、漫画家、脚本家、映画関係者、ドラマ制作者はいないのではないか。理由は単純で、このドラマにおける、久しく日本では見ることがなかったベタなストーリーテリングと、横溢する情感は日本人にとってのアイデンティティを見極める、一種の「踏み絵」となっていたからだ。

 

このドラマの通俗性にはもう一つ日本独特のルーツがあると著者は分析している。これは女性の方が敏感だったと思われるが、日本の特定の年代(団塊の世代前後)にとっては、この韓国ドラマの世界は明らかに、少女マンガ、レディースコミックの延長線上にある。読んでいるマンガの絵はいつのまにか実写になり、音が付いて、華麗な映像の中で、ひさしく忘れていた生の感情を持ったまま、主人公たちは恋愛に憑かれて動き出す。50代で触れた既視感的な少女マンガ世界の実写ドラマ、『冬のソナタ』はその典型的な例だった。

 

その『冬のソナタ』から14年経ったが、昨年より、当の韓国で、パート2が製作されるニュースが公表され、年内に放送されるといわれている。おそらく、その制作意図と放送時期は、’18年2月の平昌オリンピック開催と無縁ではないだろう。韓国の貴重な輸出コンテンツの一つである作品の続編は、冷え込んだままの日中韓関係を改善させる起爆剤になるのかどうか、この意味は単なる人気ドラマの続編といった範疇を超えた、もう一つの日中韓の文化摩擦まで踏み込んだ問題にまでなっている。では、その予想される続編の内容とは?(次号に続く)

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