即位の礼を無事に終えられた雅子さま。皇后になられてからは、ご回復が目覚ましく、活躍されていらっしゃる。新皇后に期待されることとは……皇室に詳しい2人の識者が語り合った(司会:皇室ジャーナリスト・近重幸哉さん)。
近重 雅子さまが新皇后となられて5カ月が過ぎました。『女性の品格』などのエッセイでおなじみ昭和女子大学理事長・総長、坂東眞理子さんと、精神科医で本誌の皇室記事にコメントしている香山リカさんに、雅子さまについて語り合っていただきます。新天皇の即位で、秋篠宮さまが皇嗣となられました。現在の皇位継承者は、秋篠宮さまを除くと、83歳の常陸宮さまと悠仁さまだけ。女性天皇を認めるべきかどうかの議論は続いていますが。
香山リカ(以下、香山)女性天皇については、私は肯定的で、けっこうなことだと思います。陛下と雅子さまは、愛子さまの将来について、ストレスをお持ちなのではと思います。愛子さまは成人に近づいているのに、将来天皇になられるのか、そうでないのかを、ご自分の意思で決断できないというのは大変なことですよ。
坂東眞理子(以下、坂東)日本の歴史を振り返ってみればわかりますが、皇位継承は男系男子に限るというのは、明治政府の下級武士たちの儒教的論理なんです。
香山 国民の感情としても、皇室のお子さまに対しては、ご誕生から皇室の中でお育ちになって、皆知っている方だからこそ、親しみを感じているわけです。「旧宮家の復活」を唱える声もありますが、男系といっても、私たちの知らない方を「皇族として尊敬してください」と言われて、自然な敬愛の気持ちを持てるかどうかということを考えたほうがいいと思います。
近重 これからの令和の時代に、新皇后・雅子さまに期待することとは。
坂東 グローバルに活躍されてほしいですね。環境問題や、恵まれない子どもたちの問題など国際的な問題に関わっていかれてほしいですね。できれば英語のスピーチでいろいろ発言できる機会をお持ちになれば、素敵だと思います。天皇陛下がとても大事にされている水の問題のような環境のこととか、雅子さまも子どもの問題や南北間の貧困の問題などにご関心がおありなので、そういうことを大切になさるのは、とてもいいことですね。
香山 ただ、いまのところ大丈夫そうにお見受けしますけど、ちょっと燃え尽き症候群が心配です。本当に公私の区別がない生活だと思うんですね。ご公務はもちろんですけど、個人としての時間も大切だと思います。雅子さまは、「私にいまできることは何だろう」と常に考えていらっしゃるような感じです。逆に心配になってしまいます。
坂東 誰しも皆が順風満帆で生きているわけではないですから。つらい思いをしても、また回復して元気になることができるというお手本になっていただきたいですね。
香山 そうですね。私は、雅子さまは、現代の同世代の女性のいい意味でのシンボルというだけではなくて、社会の軋轢とか、女性や家族の問題を、ご自身は望んでいらっしゃらなかったにせよ、体現されてきた方で、それを乗り越えられて、自分なりに輝けるのだと、そういうお姿自体が、いろいろな人を励ますのだと思います。
【坂東眞理子】
ばんどうまりこ:富山県生まれ。1969年、東京大学卒。内閣府男女共同参画局長等を経て、現在、昭和女子大学理事長・総長。『70歳のたしなみ』など著書多数。
【香山リカ】
かやまりか:1960年、札幌市生まれ。東京医科大学卒。精神科医として臨床を続けながら、立教大学現代心理学部教授を務める。著書に『皇室女子』など。
『女性自身』皇室SPECIAL即位記念号「雅子さま 輝く笑顔が時代をひらく!」より
『女性自身』皇室SPECIAL即位記念号「雅子さま 輝く笑顔が時代をひらく!」
発売日:10月15日(火)
発行:光文社
価格:500円(税抜き)
https://www.amazon.co.jp/dp/4334843417/