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【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第22回>

TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。

 

【今回の相談内容】

1年前に主人を病気で亡くしました。本人の意思により無治療を貫き、自宅で看取りました。それはそれは壮絶な最期で、あまりにも悲しくて、1年経った今も遺影の写真や生前の写真を見ることができません。絶対に既読にならないメールを亡き主人に送り続け、泣き続け、何とか正気を保つような毎日。主人の最期を思い出しては、「ああすればよかった。こうすればよかった」と沢山の後悔に苛まれています。このような後悔と現実に、どう向き合っていったらよいのか教えてください(57歳・女性・美容師)

 

【回答】

すでに、とても上手に向き合っていらっしゃると思います。ご主人にメールを出し続けていらっしゃること。泣き続けていらっしゃること。こうしてご相談してくださっていること。すべて、うまく向き合っていらっしゃる証の行動だと思います。

 

ご主人と過ごした年月を、そしてさらに濃密だった最期の時を消化(昇華)するには時間がかかります。たとえば、風邪をひいて3日寝込めば、体の完全回復にはひと月かかると言われているのですよ。体がそうなら、心だって同じこと。回復には時間がかかるのです。焦る必要はありません。

 

大切なのは、「きちんと悲しみきる」ことと、「良い後悔をする」こと。

 

「きちんと悲しみきる」というのは、「毎日泣いてばかりじゃだめだ」とか、「もっとしっかりしなくちゃ」などと悲しい気持ちを抑え込まずに、きちんと悲しみの穴の底まで沈みきるということです。底に足がつけば、底をけって浮上する力が生まれます。中途半端に上がろうともがくから、よけい苦しいのです。大人はどうもこのあたりが不得意のようです。真っ当にきちんと悲しみきりましょう。

 

そして、「良い後悔をする」。私たちは、どうがんばったって後悔せずにはいられない生きものです。だからこそ、こうして発展してきたとも言えるでしょう。良い後悔というのは、時間軸を今にもどす思考回路がある後悔です。「ああすればよかった」「こうすればよかった」だけで終わってしまっては、時間軸が過去にいきっぱなし。「だからこうしよう」と、時間軸を今に戻して考えましょう。

 

ご主人がまさに命がけであなたに伝えてくれたのはなんですか。悲しみだけではないはずです。たっぷり涙を流したら、心の耳を澄まして聴いてみてください。大切なご主人からの、大いなるメッセージを。

 

【プロフィール】

玉置妙憂(たまおきみょうゆう)

看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。

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