5月1日から「持続化給付金」がスタートした。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、売り上げが半分以下に減ってしまった事業者に向けた支援策のひとつだ。経済産業省の中小企業庁総務課の担当者はこう説明する。
「フリーランスを含む、個人事業者と、中小企業を対象とした制度です。返済の義務はありません」
法人化しているかどうかにかかわらず、街の美容院や喫茶店などの店舗を経営している人。また、農業や漁業の従事者、個人タクシーの運転手、ピアノ講師やジムのインストラクターなど……。雇用という形を取らずに、働いている人全般を対象にした給付金だ。
中小法人は資本金の額や出資の総額が10億円未満。定められていない場合は従業員数が2,000人以下の各種法人。医療法人、農業法人、NPO法人なども含む。また、風営法で「性風俗関連特殊営業」と規定されている事業者などや、政治団体や宗教法人は対象外。
多くの個人事業者の経営支援を行っている税理士の西川豪康さんは給付条件を教えてくれた。
「事業を継続する意思を持っていること。そして、昨年の同じ月と比べて、売り上げが50%以上ダウンした月が、今年ひと月でもあれば対象となります」
昨年同月比より50%以上事業収入が減った月のなかから、自分が選んだ月の収入に12をかけて、それを昨年1年間の総事業収入から引いた額が給付金額となる。
当然、昨年の収入との落差が大きいほど、計算上の額は大きくなっていくが、給付金の上限額が決まっていて、中小法人は最大200万円、フリーランスを含む個人事業者は最大100万円となっている。
たとえば、’19年の総売り上げが300万円で、昨年4月の売り上げが30万円だったのに今年は10万円に減ってしまった場合、計算上の額は180万円になる。これが中小法人であれば180万円を満額もらえるが、個人事業者の場合は上限額の100万円が給付金額となる。
給付金がもらえるのは一度きり。できることなら満額もらいたい。
「昨年同月比50%減にわずかに届かない場合で、店を開けていても客足が減っているなら、休みを増やすなどして対象者になることを選択してもいい。また、今年12月の収入まで対象になるので、現段階で満額に届かず、今後の収入も下がる見込みの人は、急いで申請せずに様子をみたほうがいいかもしれません。そんな余裕がないといった場合でも、現在は自治体などから無利子でお金を借りられるので、給付金で返済してもいいのでは」(西川さん)
持続化給付金は、事業全般に使えるとある。子どもの学費や生活費にも使っていいのだろうか……。
「本来は事業費の補填や家賃など固定費の支払いに充てることを想定しています。ただ、使い道は問いませんし、確認することもありません」(中小企業庁総務課担当者)
申請はパソコンやスマホなど、オンラインでしかできないが、特設サイトの指示に従えば、さほど難しい作業ではない。まずは「持続化給付金」で検索してみよう。
「’19年確定申告書第一表の控え」や「’20年の該当月の売上台帳」「振込み先の通帳」、身分証明書などの書類を添付する必要があるが、スマホなどで撮影したものでOK。「売上台帳」は様式を問わないので、手書きのもので問題ない。
パソコンが苦手で申請が難しい人に向けて、「申請サポート会場」を現在整備中だ。“もらえるものはもらって”、みんなで難局を乗り越えよう。
「女性自身」2020年5月26日号 掲載