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「コロナ感染予防が普及したこともあってインフルエンザは今のところ流行にはいたっていませんが、花粉にはまた別の心がけや対策が必要となってきます」

 

そうアドバイスするのは、たなか耳鼻咽喉科の田中伸明院長。体調を整えて免疫力を高めることに加えて、ウイルス対策の観点からその重要性が注目されているのが、鼻の中のメンテナンス(鼻メンテ)だ。

 

コロナ禍に追い打ちをかけるようにやってくる花粉の本格シーズンを前に、鼻を健全に保つことが欠かせないという。

 

鼻には“空気清浄機”のような役割があり、その機能を最大限生かすことが身を守ることにもつながると田中院長は話す。

 

「鼻のコンディションを整え、その機能を十分に発揮させることはとても重要です。日ごろの“鼻メンテ”を習慣にし、困難な時期を乗り越えましょう」

 

日ごろからマスクを着ける、室内に入ったらすぐに手洗い・うがいをする、といった感染症対策に加えて習慣化したい“鼻メンテ”を田中院長に解説してもらった。

 

「手洗い・うがいは花粉症、感染症対策の基本です。手を洗うときは、手首やひじなど露出した部分をしっかりと洗いましょう。うがいは消毒液を使う必要はなく、水道水でのどを流すだけでもOKです。また、顔と髪も一緒に洗うとなおいいでしょう」

 

鼻には、外気を調整して肺が呼吸しやすい温度と湿度に整える機能と、異物などを取り除く機能が備わっている。「鼻孔」(鼻の穴)から入った空気は左右の鼻腔を通過して鼻の突き当り、のどの上にあたる『上咽頭』で合流して、のどから肺に向かって流れる。

 

「上咽頭はウイルスを含んだ空気がたまりやすい場所で、粘膜下にリンパ球などの組織が発達しています。このリンパ組織の集合体が“扁桃”で、呼吸によって鼻や口から入ってくる異物を捉え、気管や肺への侵入を防ぐ免疫機能を持っています」

 

上咽頭の免疫システムを正常に働かせるために有効なのが、“鼻うがい”だ。

 

「鼻うがいはエビデンスが少なく、どこまで感染予防の効果があるかは未知数ですが、鼻咽頭についた花粉を洗い流してアレルギー反応を少なくしたり、サイトカインと呼ばれる炎症成分を洗い流して炎症をひどくならないようにする効果は得られます」

 

鼻うがいは市販のキットもラインナップが広がるなど普及しつつあるが、水道水とドレッシング容器でも行える。水道水は必ず煮沸すること。

 

■鼻うがい

 

〈準備するもの〉

食塩、水200ml(水道水でもOK)、100円ショップで売っているドレッシングボトル、または市販の鼻うがいキット。

(1)水200mlを煮沸してから、体温程度まで冷ます。
(2)塩を入れる。水100に対して塩0.9が目安(水200mlなら塩は2g程度)。

 

〈鼻うがいのやり方〉

(1)軽くうつむいた感じで、片方の鼻孔(鼻の穴)にボトルの先をつける。
(2)「あー」と声を出しながら、ボトルに圧をかけて食塩水を鼻の中に流し込む。もう片方の鼻孔、もしくは口に水が出てくればOK。反対側の鼻孔でも同様に行う。使い終わったら容器の煮沸消毒を忘れずに。朝と晩、1日2回ぐらい行うのがベスト。

 

※うつむいて鼻うがいを行うのが難しい場合は、頭を後方にそらせた状態で、片方の鼻孔に水を流し込む。この方法でも上咽頭を洗うことができる。

 

鼻に食塩水を入れるときは、「あー」と声を出すと気道が閉じるので誤嚥を防ぐ。慣れるまではお風呂で練習しよう。

 

「女性自身」2021年2月23日号 掲載

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