厚生労働省老健局が作成した介護事業者向けの「介護現場における感染対策の手引き」にはアルコールを飲むときの注意喚起が 画像を見る

厚生労働省の職員23人が宴会を開いていた問題が、全国の介護事業者に大きな衝撃を与えているという。じつは宴会を行った職員が所属する老健局は高齢者医療や福祉などを担当する介護事業の所管部署だ。

 

ウイルスへの抵抗力が弱い高齢者が集う介護施設は、しばしばクラスター(集団感染)の舞台となってきた。4月1日、職員と入所者47名のクラスターが起きた神奈川県川崎市の老人ホームで、80代男性が亡くなったことが発表された。また、2日には埼玉県川口市の老人ホームでスタッフ3名と入所者18名のクラスターが起きたことが明らかに。

 

感染が死に直結する可能性が高い利用者や入所者を守るために、職員は不自由な生活に耐えてきた。大阪府の介護老人保健施設が加盟する大阪介護老人保健施設協会の木場康文事務局長はこう憤る。

 

「飲み会どころか、必要なとき以外は一切外出しないとか、買い物すら回数を減らしてとか、職員たちは一年近く気を付けてきました。現場の職員は行政からの“お達し”よりもずっと自粛した生活を送ってきたんですよ。今回のことを聞いて、本当に残念で残念で。裏切られた気分です」

 

老健局は介護事業者向けに「介護現場における感染対策の手引き」というマニュアルを発行している。そこには、介護の現場で働く職員に対するこんな“お達し”が。

 

〈(6)仕事が終わったら
・3密を避けて楽しむ
・アルコールが入った場合には特に気をつける〉

 

これを作った当事者たちが、マスクなしで密集して酒宴を楽しんでいたのだから、呆れるほかない。西日本の地方都市で老人ホームなどを経営する社会福祉法人の理事長はこう語る。

 

「結局、現場には我慢しろとか対策しろとかいうだけで、感染対策はほとんど丸投げ。いざとなっても入院先が見つからず、施設内での隔離を求められることも多い。宴会していた職員たちには現場の窮状をぜひ見に来てほしいですね。飲み会をする時間があるなら、できるはずじゃないですか」

 

「女性自身」2021年4月20日号 掲載

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