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「テレビから流れる天気予報は、昔は“平和の象徴”だったように思います。でも今の日本は、冬以外はもはや亜熱帯で、台風やゲリラ豪雨などの気象災害が身近なうえ、地震も多発しています。これまでの常識は通用せず、防災について一人ひとりが考えて行動しなければいけない時代ですね」

 

そう語るのは、『めざまし8』(フジテレビ系)のお天気コーナーを担当する気象防災キャスターの天達武史さん。前番組『とくダネ!』の終了前に、防災士の資格を取得。防災の基本は「3K」なのだという。

 

「3Kとは『気づく・考える・行動する』こと。最初は『いつもと雨の降り方が違うな』『警報が出ているぞ』など、異変に“気づける”ことから始まります。気づいたら次に『今すぐ避難すべきかとどまるべきか』など、もっとも安全な策を“考える”。そして実際に“行動に移す”という一連の流れが基本です」(天達さん・以下同)

 

そして、この3Kを日ごろから意識し習慣づけてこそ、災害時に実践できるというものだ。

 

「“気づく”には、正しい情報を得ることも含まれます。刻一刻と変化する状況のなか、つねに正しく新しい情報をとること。SNSだけに頼らず、気象庁や国交省のサイト、テレビのニュースなど、出元が確かな、公の情報を確認するべきです」

 

なかでも、気象庁のサイトが見やすくリニューアルされたようだ。

 

「天気予報、大雨、大雪、防災、地震、さらにキキクル(危険度分布)などの項目があり、市区町村別に見ることができます。天気予報には“A・B・C”の順に信頼度もついている(笑)。Aは的中しやすく、Cは今後変わる可能性の高い予報です」

 

予報は変化する。だから、最新情報のチェックが欠かせないのだ。

 

「ちなみに、気象庁の天気予報は1日に3回(5時、11時、17時に)更新されます。テレビのニュースもこれが元になっていることが多いんですよ」

 

さらに今回、防災の新習慣にすべきことを、その頻度の目安とともに教えてもらった。

 

【毎日】

 

■天気予報の「最低気温」「風速」をチェック

夏以外、最高気温に達するのは1日のうち数時間。服装は迷ったら最低気温のほうに合わせ、また、風速1メートルにつき体感温度が1度下がる点にも注意して。

 

■出かける前に「雨雲レーダー」をチェック

雨雲レーダーは、10分間隔で雨雲の動きを確認できる。外出前は特にゲリラ豪雨の場所や時間を把握しておき、外出先での被害を回避しよう。

 

■家の中と近所の異変を“ながらチェック”

掃除しながら建て付けにズレがないか、通勤しながら通り道のブロック塀にヒビがないかなど、“ながらチェック”で「いつもと違う」を察知できるように。

 

【週に1回】

 

■1か月予報のチェック

毎週木曜に発表される気象庁の「1か月予報」を確認することで、「この梅雨は大雨傾向」など、天候への備えと季節の心がまえをしておきたい。

 

■側溝の詰まりや落ち葉、ゴミの掃除

大雨による冠水は、じつは側溝の詰まりが原因というケースが多い。定期的に家周辺の落ち葉やゴミを拾っておくことで、その被害を防ぐことができる。

 

【1カ月に1回】

 

■3か月予報のチェック

気象庁が毎月25日ごろに発表する「3か月予報」。5月なら8月末までの予報となり、この梅雨と夏に、例年より注意すべき点を意識しておく。

 

【2〜3カ月に1回】

 

■備蓄品のチェックとリニューアル

季節によって必要な防災備品も変わる。昨今、賞味期限設定の短い食品も増えているので、食べて新たに備蓄するようにし、定期的な入れ替えを。

 

■家族会議

定期的に家族会議を開き、災害時の連絡方法を確認し合おう。また、避難場所と経路を決め、実際に1度、昼にも夜にもその道を歩いておくこと。

 

「たとえば1日に1度の天気予報チェックなら、最高・最低気温の確認をしてください。外出先で被災することも想定して、迷ったら服装は最低気温のほうに合わせます。上着が必要かどうかの目安は気温20度。また、風速によって体感温度が変わるので、5メートル以上の場合は実際の気温よりずっと寒く感じるので要注意です。また、災害時にはスマホがつながりづらくなるので、公衆電話の場所も確認しておきたいですね」

 

【気象防災豆知識】

 

(1)「地震雲」は存在しない!

 

雲が空気中の水蒸気によって形成されるのに対し、地震は地下・海底で起こる。

 

「つまり、気象と地震は別物です。いわゆる“地震雲”のほとんどは、風による飛行機雲の変形などで説明がつくんですよ」

 

(2)「台風」には5日前から備えを!

 

技術の進歩により、3日先までだった台風の進路予測が、5日先まで可能になった。

 

「2日の猶予の違いは大きいですよね。接近が予想される場合は、食料調達、窓枠の強化など準備を始めましょう」

 

これからの時代、毎朝の天気予報チェックに防災新習慣を加え、気象災害リスクを減らす生活を定着させよう。

 

「女性自身」2021年6月1日号 掲載

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