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「天気が悪い日は『頭がズキズキと痛い』『全身が気だるい』『肩こりがひどくて頭が重い』などといった症状を訴える人が数多く来院します。共通しているのは、季節の変わり目や雨の降り始め、天気が変わる前につらい症状が出ること。これらの体調不良は『気象病』の可能性があります。特に近年は、極端に天候が変わる日が多いので、体がついていかないのでしょう」

 

そう語るのは、気象病・天気病外来がある「せたがや内科・神経内科クリニック」(東京・世田谷)の久手堅司院長。’16年9月にクリニック内に気象病・天気病外来を設けてから、延べ4,000人以上を診察しているという。

 

「『気象病』は、正式な病名ではなく、天気や天候の変化が原因で起こる体調不良の総称です。季節の変わり目や梅雨の時期、台風が来る前などに頭痛やめまい、肩・首こり、全身倦怠感といった症状が起こりやすくなるのです。目に見える症状ではないので、軽く捉えられがちですが、中には寝込んでしまったり、メンタルの不調も伴ったり、患者さん一人ひとり、症状の出方は違ってきます。日常生活に大きな支障をきたす前に、体調不良は気象病によるものと理解して、対策を講じることが大事です」(久手堅院長・以下同)

 

■気象病かどうかをチェックリストで診断!

 

まず、久手堅院長が実際に使っている次の「問診票」で、気象病かどうかチェックしてみよう。

 

【「もしかして気象病?」問診票】

□ 1・天候が変わるときに体調が悪くなる
□ 2・雨が降る前や天候が変わる前に、なんとなく予測ができる
□ 3・頭痛もちである
□ 4・めまいや耳鳴りが起こりやすい
□ 5・首、肩こりがひどい。首の外傷歴もある
□ 6・猫背やそり腰で姿勢が悪い
□ 7・乗り物酔いしやすい
□ 8・パソコンの作業やスマートフォンを見る時間が1日平均4時間以上ある
□ 9・ふだんからストレッチや柔軟体操をすることが少ない
□ 10・歯の食いしばりや歯ぎしりをすることが多く、歯もよく治療する。がく関節症と診断されたことがある。
□ 11・エアコンが苦手
□ 12・日常的にストレスを感じていることが多い

 

「1・天候が変わるときに体調が悪くなる」、あるいは「2・雨が降る前や天候が変わる前に、なんとなく予測ができる」の、どちらかにあてはまれば気象病の可能性が高い。3以下の項目で3つ以上あてはまると気象病予備群となる。

 

■体調に影響を与えるのは急激な「気圧」の変化

 

「気象の変化には、気圧と温度、湿度がありますが、最も体調に影響を与えるのは『気圧』です。気圧が変化しますと、耳の奥にある『内耳』という場所が気圧を感じて、脳に信号が送られます。自律神経を介して、気圧の変化に体を順応させようとするのです。自律神経には交感神経と副交感神経があり、朝起きて活動するときには交感神経が優位になり、夜寝るときには副交感神経が優位になります。雨が降ると副交感神経が優位になりがちで、体が“休め”のモードに入ってしまいます。低血圧の状態になると、血のめぐりが悪くなるので、頭痛やめまい、全身倦怠感、肩・首こりといったさまざまな症状が出てきます」

 

女性ホルモンの変動が大きく、気圧の変化による影響を受けやすいため、自律神経を乱しやすい。さらに、今の時期、デスクワークで座りっぱなしになったり、パソコンやスマホを長時間見ていたりして骨格がゆがんでいると、頭部と内耳の位置が安定しにくくなるため、自律神経が乱れやすくなる傾向にあるという。

 

「更年期の時期と重なると、気象病の症状が強く出やすくなることもあります。症状が慢性化すると、少しの気圧の変動でも敏感に感じとるようになり、頻繁に不調に陥るようになるので、ふだんから姿勢に気をつけ、睡眠時間をしっかりとるなど、規則正しい生活習慣を心がけましょう」

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