連日のように発表される、食品の値上げ。専門家は、家計にダメージを与えるこの傾向はしばらく続くと予測する。年末年始を控えた時期の相次ぐ値上がりの背景には、いったい何があるというのか−−。
「食品価格の上昇はここ10年間でジワジワと続いていますが、この10月以降の値上げの傾向は、それが特に顕著に見られます」
こう語るのは、第一生命経済研究所経済調査部の首席エコノミスト・永濱利廣さん。10〜11月にかけて、メーカー各社による食品、商品の値上げ発表が相次いでいる。
すでに外食産業の「びっくりドンキー」や「吉野家」などが10月末から値上げを実施。「桃屋」や「日清オイリオグループ」などは、11月1日より商品の値段を上げた。さらにこれから年末年始にかけて、複数の食品メーカーによる“値上げラッシュ”が家計を直撃する。なぜ、ここまで食品の値上がりが続くのか。
「原油と穀物価格の高騰が主な原因です。原油高は企業の工場の燃料費や包装材料費、そして物流コストを押し上げます。さらに原油が上がるとバイオ燃料の需要も増えます。その原料が穀物なのです。また、コロナ禍による航空機や船で輸送する便数の減少。食品、食肉加工現場でも、人手不足による生産性の減少といった、複合的な要因も重なり、食品値上げが起きています」(永濱さん・以下同)
また、メーカー各社が、この時期の値上げに踏み切ったのにも理由があるという。
「企業側は、消費が少ないときに値上げをすると、より売れなくなってしまいます。消費需要が増えるこれからの時期は上げやすかったのでしょう」