原油だけでなく、さまざまな原材料が高騰する現状に円安が追い打ちをかけることで、物の製造コストが著しく上がっている。その結果、ありとあらゆるものが値上げされる事態に陥っている。
生活必需品であるトイレットペーパーも値上げされる。大王製紙は、3月22日出荷分から、ティッシュやトイレットペーパーなどを現行価格より15%以上値上げすると発表。公式オンラインショップでの12ロールセットの販売価格、税抜き508円で換算すると、76円以上も値上げされることになる。
4月には、飲料水にまで値上げが及ぶ。クリスタルガイザーは、500ミリリットルサイズが税抜き100円から110円に。700ミリリットルサイズだと100円から120円に値上げされる。
さらに、日清食品は6月出荷分からカップヌードルやどん兵衛、チキンラーメンを値上げ。カップヌードルは193円から214円となる。永谷園も、同様にお茶漬けやふりかけなどの値上げを発表している。
このように、輸入品の価格アップに拍車をかける現在の円安の原因は、アベノミクスにあるという。
’13年に安倍晋三首相(当時)が発表したアベノミクスでは、日銀が市場に大量のお金を投入する大規模な金融緩和が行われた。
その結果、円の価値が下がって、リーマンショック以降の円高が円安へと移行。アベノミクスを継承した岸田政権下では、円安と原料の高騰が重なり、物価上昇が加速しているのだ。
じつは欧米各国もコロナ禍の経済対策として、金融緩和を行ってきた。しかし、ここにきて各国は物価上昇の兆しが見えてきたために、緩和をやめて正常化を図る動きをとっている。
経済学者で法政大学教授の小黒一正さんは次のように語る。
「物価を抑えるには、日銀も金融緩和をやめて、円安を食い止める必要があります。しかし、そのためには日銀は保有している国債を売却して、流通する円の量を減らさなければいけません。すると、国債の金利が上がってしまうので、日銀は踏み込めないのです」
日銀は10日、国債を無制限に買い入れて金利を抑制する“指値オペ”を行うことを発表した。むしろ、金利の上昇を抑えようとしているのだ。
「今後、欧米が金融緩和をやめる一方で日本がアベノミクスを続ければ、物価上昇が続く可能性が高いです。家計を守るには、節約だけでなく、主婦もその能力を生かして働くことが求められるようになるでしょう。しかも、そうやって働くことが日本経済の回復にもつながるんです」
まだまだ続きそうな値上げラッシュ。その元凶は、アベノミクスにあるようだ。