「フジテレビに育ててもらったようなものです」と振り返った千堂あきほ /(C)Sakinaya.inc 画像を見る

「司会をさせていただいた『オールナイトフジ』、連続ドラマ初挑戦だった『東京ラブストーリー』、そして『振り返れば奴がいる』(すべてフジテレビ系)。私は、フジテレビに育ててもらったようなものです」

 

こう振り返るのは、千堂あきほさん(54)だ。織田裕二(55)と2度目の共演作となる『振り返れば奴がいる』は、大病院を舞台に、織田演じる孤高の天才医師・司馬と、石黒賢(57)演じる人望のある医師・石川のライバル関係が描かれている。

 

「撮影以外の時間でも対照的なお二人でした。石黒さんは明るく、ムードメーカー。スタッフとも和気あいあいと雑談していました。テニスに誘っていただいたり、オフの日に、ハンバーガーを買い込んで、友達も呼んでドライブに行ったりしたことも」

 

一方、織田は撮影現場で笑う姿を見せることはなかったという。

 

「私は朝、スタジオ入りしてから、メーク、スタッフや共演者の方とお茶を飲みながら雑談しているうちに、役になる準備をしていたのですが、織田さんは撮影現場では常に“司馬”。ご挨拶するのもためらわれるほどでした」

 

覚えた台本が、急遽書き換えになることもあった。

 

「織田さんから『司馬は、ここではこう言うんじゃないのか』と提案があるんです。だから前の晩にせっかくセリフを覚えても、翌日にスタジオ入りすると別紙を渡されて、新しいセリフを覚えなければいけない。ベテランの鹿賀丈史さんでさえ、書き換えられた長ゼリフに苦しめられ、『何回かに分けて撮影してくれ』と頼んでいたことも」

 

このように、織田は作品に対し妥協をしなかった。

 

「いろいろなアイデアが出るから、どうしてもテイクが増えます。夜中になって『もう一回、やらせてください』となると、正直、“もう、勘弁して!”って思ってしまったり(笑)」

 

だが、そのこだわりがあったからこそ、完成度が高められた。

 

「最終回で司馬が刺されてしまう象徴的なシーンも、急遽決まったそうです。織田さんが『やっぱり、最後はオレ(司馬)、死にたい』と言いだし、三谷幸喜さんが西村雅彦(当時)さんに『じゃあ、お前が刺しちゃえよ』と言って、本を書き換えたと聞いています」

 

撮影現場では、終始、厳しい表情の織田だったが、打ち上げではさまざまなプレッシャーから解放されたようだ。

 

「司会も買ってでるほど、ノリノリ。景品に、ハワイ旅行を提供していました。私の姉にサイン色紙を書いてくださったのが、何よりの思い出です」

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