喜久雄を演ずる吉沢。化粧する姿が印象的。“赤いタッチ”は鴈治郎さん仕込み(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会 全国にて上映中 画像を見る

「歌舞伎の稽古と撮影を含めると1年半、今までの役者人生の集大成、培ったすべてをぶつけた作品です」

 

と、完成披露報告会で語った吉沢亮(31)が主演を務める、映画『国宝』(李相日監督・東宝系)が、6月6日の公開後10日間で観客動員数85万人、興行収入11.9億円を突破。平日でも満員の映画館が続出するなど大ヒットとなり話題を呼んでいる。

 

任?の世界に生まれながら、歌舞伎の才能を見いだされ、芸に身を捧げる主人公・立花喜久雄を演じる吉沢と、喜久雄の親友でライバルである名門の御曹司・大垣俊介を演じる横浜流星(28)の2人が、歌舞伎の演目『藤娘』などを実際に演じ舞う迫力と、女形としての美しさに目を奪われ、リピートする人も多いという。

 

「本当に亮(吉沢)と流星(横浜)は、歌舞伎の所作や演目を覚えたうえで、“俳優として役を演じる”ための千本ノックのような厳しい状況を、最後まで投げ出さずによくやりとげましたよ」

 

そう語るのは、歌舞伎役者の四代目中村鴈治郎さん(66)。人間国宝の四代目坂田藤十郎を父にもち、2019年には紫綬褒章を受章した歌舞伎界の重鎮だ。本作では歌舞伎指導を担い、名門の歌舞伎役者・吾妻千五郎役で出演もしている。

 

映画の製作に深くかかわった鴈治郎さんが、これから映画を楽しみたい人のために『国宝』と歌舞伎に関するトリビアを教えてくれた。

 

【トリビア1】『国宝』は原作の段階から鴈治郎さんが協力していた

 

「10年ほど前、出版社を通して原作者の吉田修一さんから『歌舞伎をテーマにした作品を書きたい』という相談を受け、それなら『舞台袖で邪魔にならずに安全に見学するために黒衣を作ったほうがいいね』と衣装さんに仕立ててもらい、吉田さんに贈りました」(鴈治郎さん、以下同)

 

吉田氏は、黒衣で3年にわたり楽屋や舞台袖で鴈治郎さんの付き人として仕事をしながら、小説『国宝』の構想を練っていったのだ。そして小説発表後、李相日監督から映画化の話がきたという。

 

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