「強引な運営という印象を与えないようにしないといけない。できるだけ丁寧にと思っている」
特別国会召集直前の2月17日、記者団にこう語っていたのは衆院予算委員会の坂本哲志委員長(75)。ところが実際の議会運営に、野党側はもはや限界を迎えていて――。
3月12日午前の予算委員会の集中審議で、中道改革連合の階猛幹事長(59)が吠えた。階氏はまず、「高市首相は来年度予算案の3月中の成立にこだわっておられます。その意向を受けて、13日に衆院の予算審議を終了する日程を示し、野党側の反対を無視して何度も職権で審議日程を決めてきました」と切り出し、高市早苗首相(65)対してこう投げかけた。
「このままいけば、総理入りの集中審議の時間は半分以下、地域事情を反映させるための省庁ごとの分科会も行われなくなってしまいます。憲法83条の財政民主主義の趣旨から、質、量共に充実した予算審議は不可欠。これを犠牲にしてまで3月中の成立こだわる必要もないと考えます」
これに対し、高市氏は「国会運営については、国会でお決めいただくことと承知しています。そのため、国家審議のあり方について、私からお答えいただくことが困難であることはご理解いただきたいと思います」と答弁。そのうえで、「“すべては国民の皆さまの安心のために”との思いは、与野党の皆さま共通だと思っております。国民の皆さまの生活に支障を生じさせないように、野党の皆さまにも協力をお願いしながら、令和8年度予算を年度内に成立させていただきますように、私共も国会での審議に誠実に対応しております」と返した。
これを受け、階氏は「“国民生活の安心のため”とありましたが、それに対しては私たちも思うところは一緒」と応じ、そのためにも暫定予算を組んで関連予算を成立させることが重要だと主張。続けて、階氏は「坂本委員長にもこの際、申し上げておきたい」と迫りながら、こう訴えた。
「衆院の各委員会の委員長は、中立公平な委員会運営を行う必要があります。私も、つい先日まで法務委員長を務めてまいりました。当時は少数与党でありましたが、私は少数与党の意見だからと言って、数の力で委員会の審議日程を職権で決めたことは一度ありません!」
この訴えに、議場では一部から「そうだ!」と賛同の声が上がった。さらに、階氏は「法務委員会では選択的夫婦別姓、最新法の改正、重要な課題目白押しで、我々野党は推進したいと思っていました。しかし、少数与党の意見も聞きながら、慎重に審議日程を合意の上で決めてきたわけです。私たちができたことが、なぜできないのか。委員長、今のような職権による審議日程の決定は非常に問題だと思います。何かありましたら、お答えください」
坂本氏は「理事会協議に沿って委員会を運営しております」と述べるにとどめたが、階氏は「職権で決めることを問題視しています。私も委員長の時は、理事会の協議に沿って職権ではなく合意によって決めてきました。なぜ委員長は職権で決めているのですか。“協議に沿って”であれば、職権で決めることはできないはずですが」と厳しく追及する。
これに対して「与野党の合意がない場合は、職権で決めざるを得ません」と答えた坂本氏。階氏は、「いや、これ本当にですね、中立公平の委員長が、こんなことでいいんでしょうか?」と辺りを見回し、こう締めくくった。
「国会運営の在り方、今のままでは政府の下請け機関ではないですか。いや、下請け以下かもしれませんよ。今は下請法も改正されて取適法に変わっています。下請けに対する配慮、利益を守ることも要求されているわけです。国会は下請け以下なんですか?議院内閣制、国権の最高機関、これが憲法の要請ではないでしょうか?まったくもって、今の委員長は、その職責にふさわしくない!このことを重ねて指摘しておきます」
下を向き、特に反応も示さなかった坂本氏。この後に開かれた衆院予算委員会の理事会では、坂本氏が予算案の締めくくり質疑を13日に行うことを職権で決め、野党側は退席。そして、午後の委員会が予定より約1時間遅れて開催されると、最初に質問に立った中道・吉田宣弘議員(58)は、
「委員長、このような国会運営はおかしくありませんか? 委員長は午前中のお昼前に、午後1時に再開すると言って、この委員会は休憩となったわけです。にもかかわらず、1次のギリギリに理事会が立って、そしてこの委員会は総理はじめ閣僚の皆さまも待機を強いられました。
こういった強権的な議会運営について、委員長はどう思っておられるのか? そもそも、理事会に野党の理事が出席しなかったのは、強硬に明日の締めくくり総括質疑を委員長の職権で立ててくることが予想されたからです。何度職権の委員会運営をやってこられたのか。憲政史上初だと思いますよ。これを数の横暴と言わずにどう言うのか」と指摘。
続けて、午後の委員会の開催がずれ込んだことを受け、他の野党の議員に同情を示した。
「残念なことに、もう1時間以上過ぎてしまいました。私は幸いなことに、国民の皆さまに私の思いを聞いていただく機会は頂いています。でも、おそらく参政党の和田先生の一部の時間はもう(中継で)映らないと思います。みらいの高山先生、共産党の辰巳先生の質問も映りません。これをどう思っておられるのか! 委員長、ひと言何かありませんか」と求めた。
いっぽう、坂本氏は、「理事会を開催できない状況になったことが、委員会を1時から開けなくなったということです。その後、理事会を開き、この会となりました。予測で物事が動くものではありません。委員会開会となりましたので、質問を始めてください」と応じるのみだった。
