2024年に「ニセ警察詐欺」の被害に遭い、790万円を失った40代会社員の大岩美由紀さん(仮名/撮影:梅基展央) 画像を見る

4月1日、宮崎県警は2025年10月に県内在住の80代男性がSNSを通じた「アナリスト」を名乗る女性に2億2000万円をだまし取られる特殊詐欺事件が発生していたと発表。警察庁によると、2025年の特殊詐欺事件の被害額は3241億円(暫定値)になり、過去最悪だという。

 

とくに、警察庁が4月10日に発表した「令和8年2月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」で被害が急増しているとして注意を呼び掛けたのが、「ニセ警察詐欺」と「SNS型投資・ロマンス詐欺」だ。

 

詐欺師たちはどんな手口で忍び寄ってくるのか。2024年に「ニセ警察詐欺」に遭った40代会社員の大岩美由紀さん(仮名)に「巧妙なだましの手口」を聞いた。

 

「2024年2月の日曜日でした。家にいたら私のスマホに知らない電話番号の着信がありました。いつもは対応しないのですが、うっかり出てしまうと『総務省です。あなたが大きな事件に絡み、犯罪に関わっている疑いがあります。折り返し、警察から連絡があるのでちょっと待ってください』と言って切れました。

 

すると直後に別の電話番号で、警察官を名乗る『松尾』という人物から電話がありました。表示された番号の最初が『+1』だったのでアメリカからの電話だとわかり『これって、怪しい』と思いましたが、そのあとの番号が『0110』だったので、警察からの電話だと信用してしまったのです」

 

しかし「松尾」からの電話は、すぐに切れてしまった。そのため、大岩さんは自らかけ直した。

 

「『犯罪』という言葉で、パニックになっていたのだと思います。

 

電話では『北海道警察の管轄で、大規模な詐欺事件がありました。そこであなたのスマホの電話番号を使って作られたキャッシュカードが使われています。被害額が数億円です。あなたが犯罪に関わっている疑いがあるので、実際にキャッシュカードが使われたどうかを調べるため、自分の家の財産や身分証明を全部開示してください。そうしなければ、あなたは警察に拘束されます』と言われ、LINEで連絡を取るように指示されました」

 

大岩さんは、自身のすべての金銭を管理していたアプリの画面をスクリーンショットして「松尾」に指示されたLINEに送信した。

 

「当時は個人事業主をしていたので、事業の運転資金も含めて、現金が1100万円、預金や国債、信託などが1200万円あり、それらの明細と銀行口座番号を送ってしまいました。

 

『松尾』は、そのすべてを送金するように指示をしてきました。送金先はネット銀行です。ネット銀行は日曜日も送金できることが多いので、彼はその銀行を指定してきました。私はすぐに動かせる790万円を打ち込み、送金ボタンを押してしまいました。口座名は個人名でした。警察の『け』の字も入っていませんでした。

 

ただ、その日は日曜日なので債権は換金できません。それを伝えても『換金して送金しろ』の一点張りで、『警察官がそんなことも知らないのか。そもそもなぜ、金融機関が休みの日曜日に送金しろというのか』など訝しく思うこともあったのですが、それは“後々に思い返してみたら”で、当時はどうやって換金できるかで頭がいっぱいになっていました」

 

昼に最初の電話がかかってきてから深夜近くまで、犯人グループからの電話やLINEは間断なく続いたという。

 

「『松尾』からは『あなたの行動を逐一報告してください』と言われていました。警察に相談していないかなどを監視していたのでしょう。

 

保険金の解約や親の『信託口座』の解約も指示されました。しかし、債権と同様にどちらも日曜日にはできません。とくに信託口座は両親の同意と弁護士さんの承認が必要になります。それを伝えても、よくわかっていないようで、『両親や弁護士には連絡せずに換金しろ』と言われました。それまでも捜査情報の秘匿のためなど言いながら誰にも連絡しないよう釘を刺されていましたが、さすがに警察が弁護士に連絡してはいけないと言うわけがないと気づきました。結局、私の実害は790万円でした。

 

被害届を出した警察署の方が、振込先の口座を凍結して調べてくださったのですが、 1週間後ぐらいに『残高は2000円しかありません』と報告してくださいました。私が振り込んだ口座から、すぐに別銀行の口座に移されたそうです。マネーロンダリングをしたのでしょう」

 

その後、2年が経ったが、警察から『犯人が逮捕された』という知らせはないという。

 

「被害で得た教訓ですが、頭を切り替えるため冷静になることが必要だと思いました。後から思い出せば、犯人と電話でのやりとりをしているときも『おかしいな』と思うことはたびたびありましたから……。

 

そして気をつけなければいけないのは『詐欺電話は休日の昼にかかってくることが多い』ということです。これは警察の方がおっしゃっていたのですが、平日は仕事などで周囲に人がいることも多いので、相談される可能性があるからだそうです。犯人たちは一人で問題を抱え込ませ、パニック状態にし続けようとしてくるのです」

 

詐欺のことを思い出しながら、「必死で働いて貯めたお金をだまし取られて本当に悔しいです」と話す大岩さん。少しでもおかしいと感じる電話があったときには、冷静に対応する必要がありそうだ。

 

画像ページ >【写真あり】間断なく続く「ニセ警官」からのLINE攻勢(他1枚)

出典元:

WEB女性自身

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