立ち姿で一躍人気者に(写真:千葉市動物公園) 画像を見る

背筋をピンと伸ばした姿で2000年代半ばごろに大ブームを起こした千葉市動物公園(千葉県千葉市若葉区)のレッサーパンダ「風太」が、7月5日に23歳の誕生日を迎え同園で長寿を祝うセレモニーが行われた。

 

レッサーパンダの寿命は飼育下だと15~18歳と言われ、23歳は人間にたとえると推定“100歳超”。来年7月末には24歳21カ月まで生きた到津の森公園(福岡県北九州市小倉北区)のオスの楠(くす)が築いた世界最高齢記録を更新するとあって多くのファンが集まった。

 

5日の誕生日は体調を考慮して、飼育部屋からセレモニー会場をオンラインでつなぎ、風太の展示予定はなかったが、「1日でも長生きしてほしい」「一目でもいいから会いたい」というファンの願いが伝わったのか、展示エリアに現れ、端から端までゆっくりと歩いてファンの期待に応えた。

 

「誕生日を無事に迎えられてよかったです。(飼育部屋から)出てきてほしいという気持ちが伝わったのかちゃんと出てきてくれて。それは偶然の出来事なのかもしれませんけれども、見に来てくださる人を喜ばせたいというスターの素質があるのだと思います」

 

風太の世話をする担当飼育員の伊藤泰志さんがそう語る。

 

風太は2003年7月5日に日本平動物園(静岡県静岡市駿河区)で生まれた翌年に、繁殖を目的に無償で動物の貸し借りをする「ブリーディングローン」で市川市動物公園に来園。を目的に無償で動物の貸し借りをする「ブリーディングローン」のため市川市動物公園に来た。2005年に背筋をピンと伸ばして立ち上がる姿がメディアで報じられると「着ぐるみを着た人間みたい」と話題を呼び、愛くるしい姿は日本中の人々を魅了した。

 

風太に限らずレッサーパンダには直立する習性があり、物音を警戒して遠くを見る時や、高い位置にある笹の葉などを手元に手繰り寄せる。または相手を威嚇するために自分を大きく見せようとした時に立ち上がるという。

 

ただ、風太の立ち姿にはワケがあった。

 

日本平動物園によると、生後間もない風太を母親が運ぼうとしたときに、「首」ではなく「しっぽ」をくわえたためにちぎれてやや短くなってしまった。だが、そのしっぽが三脚のような役割を果たし、美しい立ち姿を支えていたとのこと。

 

スターらしい伝説はまだある。そもそも野生のレッサーパンダは中国やミャンマー北部、インド東北部やネパールといったアジアの森林で暮らしていているが、日本で飼育が始まったのは大阪府の天王寺動物園が開園した1915年からで、その歴史は長い。

 

だが、国内でレッサーパンダの人工繁殖に成功したのは、日本中がパンダブームに沸いた1970年代だった。レッサーパンダの繁殖に成功してから、各地の動物園では人工繁殖や人工哺育の取り組みが行われるようになった。そして、長らく子どもが産まれても育たなかった日本平動物園で、順調に育った“待望の子”が風太だった。

 

その風太は2006年にメスの「チィチィ」との間に生まれた双子を含めて、10頭の子宝に恵まれた。子どもたちは北海道や鹿児島県などの動物園に移されて、国内での繁殖に貢献した。

 

「風太の子孫は5代後の来孫までいて、亡くなった子孫を含めて83頭います。現在、国内で飼育されているレッサーパンダの5分の1が風太の子孫です。野生のレッサーパンダは環境破壊などで絶滅の危機にありますが、風太の息子のコウタは2014年に南米のチリにお婿さんに行き、子どもが1頭産まれています」(伊藤さん)

 

2023年に台湾に行った孫のミライ(オス)も、お見合いの最中だ。このように、多くの動物園でレッサーパンダ舎ができて、「立ったまま歩いた」などの報告が相次ぎ、人気者を輩出している。

 

そんな風太は若いころは活発だったが年齢とともに衰え、白内障で右目は失明し、2000年ごろから立ち上がらなくなったという。

 

5年ほど前に歯の根っこに膿ができる歯根種(歯根嚢胞)を患ったとき、エサが食べられなくなり衰弱したことから命を脅かす状況に陥った。危ない時期を乗り越えて、食欲を取り戻した今は目立った病気もなくのんびり過ごしている。

 

誕生日の日も飼育員からプレゼントされた、リンゴやサツマイモなどで作ったバースデーケーキを食べるなど元気な姿を見せた。

 

「ブームになった当時は立ち姿の美しさで脚光を浴びましたけれども、白内障や病気を乗り越え必死に生きるその“生き様”が、今もたくさんの人たちに元気と勇気を与えてくれています。

 

それが今も人気が衰えない理由の一つなのだと思います。

 

じつは性格的には飼育員にもそんなになつかないし、触られるのも嫌がる、どちらかというと我が道を行くタイプ(笑)。また、そういう野生味を残して媚びないところも、人々を魅きつけているのだと思います」

 

缶コーヒーのテレビCMにまで起用されるなど数々の伝説を残した風太。老いても人々を励まし続ける正真正銘のスターなのだ。

画像ページ >【写真あり】2006年に生まれた風太の双子の2世(他3枚)

出典元:

WEB女性自身

【関連画像】

関連カテゴリー: