7月17日、参院本会議で政府が提出していた皇室典範改正案が与党などの賛成多数で可決された。国民の反発も根強い養子案、そして結婚後も皇室に残る女性皇族が住民基本台帳に登録されることで男性皇族との“差”が生じてしまうことにも、疑問符が付けられている。
天皇陛下は6月11日、オランダ・ベルギー公式訪問に際した記者会見で、「皇族数の確保の在り方についての議論においても、国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」と、進行中の国会の議論に対して異例のおことばを述べられていた。
だが、自民党と日本維新の会は国民の世論はどこ吹く風で、改正が強行される形となってしまった。
「養子案は宮内庁内部でも非常に反発する向きが強く、戦後皇室が築き上げてきた象徴天皇のあり方や国民が抱く信頼感に大きな動揺を与えてしまうのではないかと、懸念は深まる一方です」(宮内庁関係者)
高市早苗首相は昨年10月の就任以来、皇室典範改正の実現を強力に推し進めてきた。だが現政権の皇室に対する姿勢に対しては、これまでも批判的な見方が向けられてきた。その一例としては、政府が4月29日に開いた「昭和100年記念式典」で、天皇陛下がおことばを述べる機会が設けられなかったことだろう。
両陛下は式典出席後、宮内庁幹部を通じて、「過去の歴史から謙虚に学び、深い反省とともに努力を続けることが大切」というお気持ちで式典に臨んでいたことを明かされたが、これも異例のこととして、当時注目を集めていた。皇室担当記者はこう話す。
「おことばを“封殺”したとして、高市首相や政権の姿勢に批判が集まりました。また先日7月7日には、ノンフィクション作家の保阪正康さんが、天皇陛下に発言させないようにしている政権のスタンスに言及しつつ、“天皇陛下に対して総理大臣がほとんど内奏にも行っていないと聞いています”などと、出演した『報道1930』(BS-TBS)で述べていたのです」
内奏とは、首相や国務大臣が天皇陛下に国内外の情勢などを一対一で直接報告する場で、原則として内容は一切公開されない。実際に、高市首相はほとんど内奏に行っていないのか。
報道各社が伝える高市首相の動静を見ると、就任した昨年10月21日に初回、今年6月29日の分を含めて、約8カ月間で計7回内奏を行っている。前任者の石破茂前首相は、2024年10月1日に初回の内奏を行い、最後となった2025年5月21日の回を含めると約8カ月間で計7回行っていた。前出の宮内庁関係者はこう話す。
「天皇陛下は憲法で定められているように、政治的な権能を持たないため、内奏が形式化してしまっている側面もないとは言えません。ただ高市総理は、就任直後から皇室典範改正を掲げ、与野党の議論を加速してきました。
しかしその以前から“両陛下や皇族の方々のお気持ちを確かめているのか”と指摘されてきました。高市総理が改正を実現するにあたって、前任の石破総理と回数の差がなかったということは問題があったとしか思えません。
内奏のなかで、コミュニケーションが重ねられていれば、陛下はオランダ・ベルギー公式訪問前の記者会見であのようなおことばを述べられるようなことはなかったのではないでしょうか」
参院では立憲民主党が養子案の削除を求めた修正案を提出するなど、政府案のベースとなっていた「立法府の総意」ではなくなってしまった。
「皇室の問題とあっては、原則全会一致で改正すべきということで、与野党は何年もかけ議論し、『立法府の総意』としてまとめ、政府に示しています。しかし高市政権はそれを崩して皇室典範の改正を行うことになりましたから、国民の理解は得られるどころか反感を広げるばかりではないでしょうか。
さらにいえば、憲法で定められている天皇の国事行為の一つとして、法律や政令には陛下の『御名御璽』をいただくことになります。“国民の理解が得られていない”ような改正案に、天皇陛下が署名し、御璽の押印をある意味“強いる”わけで、いっそう高市政権が“皇室を軽んじている”と批判されても仕方ありません」(前出・皇室担当記者)
高市政権による改正が、皇室と国民の未来に大きな陰を落とすことになってしまった――。
画像ページ >【写真あり】式典で演奏にあわせてノリノリな高市首相(他31枚)
