10月からさまざまな法律が改正されますが、「酒税」もそのひとつ。これまでビールや発泡酒、第3のビールはそれぞれ税率が異なりましたが、10月以降は54.25円に統一されました(350ml換算、以下同)。
酒税の改正は2020年から3段階で進んでいました。ビールの酒税は当初の77円から最終的に54.25円となり22.75円引き下げ。前回の改正からは9.1円下がりました。反対にもっとも酒税の安かった第3のビールは当初の28円から54.25円となり、26.25円の引き上げ。発泡酒は46.99円から7.26円の引き上げです。
財務省は酒税改正の目的を「類似する酒類間の税負担の公平性を回復」と説明しています。ですが、もとはといえば、ビールを少しでも安く消費者に提供しようと、酒税の違いを有効活用してビール系飲料が開発されたのです。こうした企業努力を台無しにする改正ではないかと、私は憤りを覚えます。
また、缶チューハイなどの酒税も28円から35円に上がりました。今回の酒税改正は、ビールを下げた分ほかのアルコール飲料を上げただけ、全体の税収入は変わらない「税収中立」だと財務省は言います。しかし、安い酒を選んできた庶民にとっては“増税”以外の何物でもありません。
■低価格ビールという新しいカテゴリーが充実するのでは
今後は、第3のビールや発泡酒が麦芽比率を高めるなどして「ビール」にくら替えし、原材料費などを抑えた低価格ビールとして販売されるものが多いようです。先陣を切ったサントリー「金麦」(350ml缶)は206円程度で販売し、同社の一般的なビールより約6円安くなります。キリンビール「本麒麟」なども後に続きますから、イオンなどが独自に開発するPBビールと共に低価格ビールという新しいカテゴリーが充実するのでは。
帝国データバンクによると10月の飲食料品の値上げは3千153品目。2カ月連続で3千品目を超えました。また、値上げが年間2万品目を超えるのも、2年連続です。物価高はおさまる気配がありません。
庶民が物価高に苦しむなかでも、国は予定していた増税を着々と進めます。
いっぽう減税は、議論されていた「給付付き税額控除」は、税額控除という減税部分がなくなってただの給付になりそう。食品消費税の1%への減税もわずか2年間限定です。しかも、実施されるのはおそらく2027年4月以降ですから、2月の選挙公約から1年以上かかることに。粛々と進む増税に対して、減税は進行があまりに遅いと思うのは私だけでしょうか。
国はガソリン補助金の縮少なども議論していて、生活はますます厳しくなりそうです。
だからといって、安く早く酔うためにストロング系の缶チューハイを多飲するのは健康上問題があります。私は数年前から自宅での飲酒を控え、体が軽くなりました。この機会に、飲酒量を減らすことも考えてみてください。
【PROFILE】
おぎわらひろこ
家計に優しく寄り添う経済ジャーナリスト。著書に『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP新書)、鎌田實氏との共著『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)など多数。
