image

 

14歳の息子が、欧米版のLINEともいえるWhatsAppというチャットで仲間たちとグループを作り、毎晩メッセージを交換しています。クラスメートの半分が参加しており、どうやら彼はそのグループのリーダーのよう。変なことを言ってくる子たちをブロックする権限を持っているのだとか。

 

その中の1人が息子に「ママのこと」についてしつこく訊いてくるようで、夕飯の時に、困ってるんだ、と打ち明けられました。「なんて言ってくるの?」「別に」。彼はあまり語りたがりません。そもそも余計なことは一切しゃべらない子なのです。きっと私に気を使っているのでしょう。しかし、ここはうやむやに出来ないと思い、しつこく訊き続けたところ「親の離婚についてどう思ってるんだ、ってしつこいんだよね」と白状しました。「ブロックしないの?」「しないよ。こんなことで」。ちょっとショックでした。「でもね、悪い子じゃない。なんでも言葉にしないと満足できない子っているじゃない。そういう子の1人なんだよ」「で、どうする?」「どうもしない。出来るだけ、プライべートな質問には答えないようにしている。すると、他の子が僕に代わって、やめろよ、とその子をいさめる。ぼくらはそうやって少しずつ大人になっている」。

 

この子をここまで大人にさせてしまったのは自分かもしれない、と反省した瞬間でした。この子はまだ14歳、他の子のように子供でいていい年齢なのです。だから、彼はリーダーなのかもしれない。クラスメートたちに頼られる理由がよくわかります。私でさえ、息子に頼っているのですから。「パパ、みんなどこか子供なんだよ。どんなに頭のいい子もみんな幼稚な面を持ってる。そういうところも人間らしさだと思う。離婚について訊いてくる子だって、決して悪い子じゃない。この子はまだ幼いだけだと思えば、許してあげられる。だってそれはみんなが通る道だもの」。このようなことを言ってのけたのです。

 

私は鼻で笑い、「お前こそ子供でいろ」と言ってやりました。「まだ14歳なんだから、もっとめちゃくちゃやっていいんだ。泣き喚いてもいいんだよ。パパがお前を守ってやる」。すると息子が今度は笑い返してきました。「大丈夫だよ。ぼくはもう気付いてる。いろいろなことを乗り越えていく力がある人間が乗り越えられない者を引っ張ってあげたらいいんだ」。やれやれ、この子にこれ以上何かを言っても無駄なようです。父ちゃんにできることは美味しいごはんやおやつを作ってあげることくらいかもしれません。

 

さて、こんな時に最適な料理をご紹介します。辻家の簡単キッシュ・ロレーヌです。

 

材料(21〜22cmのタルト型1台分):ベーコン150g、玉ねぎ1個、卵2個、卵黄2個、生クリーム150ml、牛乳75ml、チーズ 30g、ナツメグ少々、塩・こしょう適量、冷凍パイシート150〜180gのもの1枚、仕上げ用のチーズ適量。

 

まず、オーブンを200度に予熱しておく。その間に市販の生地をタルト型に敷いてフォークで穴を開ける。約15分、焼き色がつくまでしっかり焼く。フライパンでベーコン(ブロックのベーコンを使い、なるべく厚めに切ってください)と細切りにした玉ねぎを炒める。ベーコンから脂が出るので油はいりません。ボウルに、卵、卵黄、生クリーム、牛乳、チーズ、ナツメグを入れ、最後に塩・こしょうで味付けしたら泡立て器でよく混ぜ合わせ卵液を作る。焼いたタルト生地をオーブンから出し、炒めたベーコンと玉ねぎを敷きつめ、その上から卵液を流し入れる。仕上げ用のチーズをかけたらオーブンで20分。全体的にふっくらとし、きれいな焼き色がついたら完成! 家族で出来立てキッシュを囲んで幸福なひと時をお過ごしください。

 

ボナペティ!

 

 

本誌連載の料理をえりすぐったレシピ本『パリのムスコめし 世界一小さな家族のための』も絶賛発売中です!

関連カテゴリー: