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豊かな大自然に包まれた「“常春”の八丈島」を歩く!

羽田空港を飛び立ったANA1891便(7時35分発)は、わずか1時間ほどで常春の島「東京都亜熱帯区八丈島」に到着した。機窓からは朝の陽光を浴びたふわふわの白い雲が燦然とかがやき、そのしたに群青の海がのぞく。やがて黒潮の海に浮かぶ八丈小島があらわれ、機体は小さな空港に着陸した。

今回は「ひょっこりひょうたん島」(NHKで放映された人形劇)のモデルとなった八丈島を訪れ、八丈富士、三原山という2つの火山と、森の中に飛沫が揺れる神秘的な唐滝・エメラルド色の硫黄沼一帯を歩いた。縄文の昔から息づいている豊かな大自然を堪能できるワンダーランドにようこそ。

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快晴のひょうたん島にそびえる八丈富士の魅力

12月だというのに汗ばむような陽気。20度近くあるだろうか。鉢巻き道路にある八丈富士(西山=854m)登山口を出発したのは12時30分過ぎ。前日までの悪天候が嘘のように晴れ渡り、頬に触れる風も心地いい。登山道は溶岩で作られた1280段の階段だ。最近、土砂の流出を防ぐため北海道と高知から業者を呼び、改修したばかりだという。しばらく進むとゲートがあらわれた。

「ノヤギの捕獲を行っています。登山道を外れないでください」との表示がある。八丈小島の野生ヤギによる被害の話は記憶にあるが、本島にもいるのか。

 

単調な溶岩階段歩きが続く。所々にアシタバが生えている。そのうち小さな生物が目に止まった。茶色のカマキリだ。カメラを向けてもじっとしたままこちらを見つめている。しばし観察。心和む一瞬だ。冬なので花は少ないが、大きな緑の葉に鮮やかな黄色の花をつけたツワブキが存在感を放っている。

上から若者2人連れが下りてきた。都内から来た学生のようだ。

「いい天気ですねえ。眺めは?」

「すごいですよ。サイコーです」

2人とも笑顔で満足気だ。いい日に登ったなあ。

 

歩き始めて40分ほどでお鉢めぐりの分岐点に到達した。案内碑を見ると、左が山頂15分、右がお鉢めぐり50分となっている。すぐに山頂に向かってもつまらないので右のコースを選ぶ。八丈富士は伊豆諸島の最高峰。眺望は抜群だ。紺碧の海がどこまでも広がっている。道はアップダウンの連続で変化に富む。途中、足元には一面のイヌツゲが密生。その間の狭い道を進むのだが、脚を広げられないので歩きにくい。風が強くなってきた。油断すると体を持っていかれそうだ。

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黒潮の海に浮かぶ八丈小島を見下ろしながらランチタイム

ススキが茂る道を進むと前方に八丈小島が見えてきた。しばらく行くと、ちょっとした広場風になっている所に出たので、ザックを置いてランチタイムとする。1時半を過ぎている。この日のランチは地元のスーパーで購入してきたお弁当。仕出し料理店で作られたもので、サバ味噌がいい味だ。黒潮の海に浮かぶ小島を眺めながら、のんびりと頬張る。真っ青な空と海。あたりには風の音だけ。静かなひとときが過ぎていく。

食事を終え、再び歩き始める。10分ほどで山頂に到着。山頂碑の土台になっている溶岩の上には5円玉、10円玉、100円玉がいっぱい。この山を楽しむ人は心豊かなんだなあ。ポケットから10円玉を取り出して岩の上に置き、手を合わせる。

分岐点に向かう。途中、何か所か亀裂がある。霧深い時は気をつけたいポイントだ。火口内を見下ろすと一面の森。さらに小さな池も見える。1万数千年前に誕生した若い火山(成層火山)だというが、樹木の生命力の強さに目を見張る。

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スピリチュアルな雰囲気に満ちた火口内の浅間神社

お鉢めぐりは無事終了。山歩きの仕上げに火口内にある浅間神社に向かう。細い道を降りていく。低木に覆われた道はなんだか神聖な気分。小さな池に青空が映り込んでいる。絵になる光景だ。苔むした道を進むとやがて鳥居があらわれる。その先には小さな石が積まれていた。風もない静謐な空間。スピリチュアルな雰囲気に満ちている。火口内をのぞくと小穴と呼ばれる陥没孔が見える。ヤマグルマの森林が広がる不思議な光景だ。この浅間神社は八丈島でも指折りのパワースポットだという。

神社を後にして分岐点に戻り、下山。15時半に登山口に降り立った。3時間余りの変化に富んだ、意外性のある愉しい山歩きだった。

所要時間:3時間半
お問い合わせ:八丈島観光協会 04996-2-1377

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【グルメ】郷土料理 島寿司、アシタバの天ぷらに島焼酎を堪能

八丈島といえば島寿司と島焼酎。その2つを存分に楽しめるのが郷土料理の店「梁山泊」(04996-2-0631)だ。「島寿司」はメダイ、オナガダイ、アオダイ、トビウオなど八丈の海で獲れた魚をしょうゆだれに漬け込み、甘めの酢飯で握り、わさびでなくカラシでいただく。漬けの加減が絶妙だ。8貫で1600円だが、独り客には半分で振る舞ってくれるのがありがたい(4貫800円)。「くさや」は他の島に比べてマイルド。アシタバの天ぷらも定番だ。

左党にお薦めはふかした「にょうげいも」(サトイモ)と酒盗のセット。イモに酒盗をつけて食べると焼酎がグイグイ進んでしまう。焼酎は島内4社の銘柄が揃う。この日は、今の時季しか飲めないという「江戸酎」を注文。八丈島産のさつまいもを原料にした焼酎で、芳醇な香りとほのかな甘さが特徴。飲みやすい。カウンターがあるので独りでも大丈夫だ。

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ANA 山ガールの八丈自慢

八丈富士の火口から発するエネルギーの強さを感じてください

八丈島空港ターミナルビル株式会社
受託業務課旅客担当
菅原 幸夏(ゆか)さん

菅原さんは福島出身。都内で数年間暮らした後、「大自然の中で暮らしたい」とハイビスカスが咲き誇る“常春の島”八丈島に移住した。島暮らしは11年。その間にご主人と出会い、お子さんが誕生した。この島の豊かな大自然を満喫している菅原さんのオススメのスポットは?

「なんといっても、この島を象徴する八丈富士ですね。40分ほどの階段歩き、お鉢めぐり、浅間神社というコースです。お鉢めぐりのポイントに立つと、火口からの強いエネルギーを一身に感じます。浅間神社もぜひ訪れていただきたいですね。実は私、近所の方に安産祈願にと勧められ、臨月の時に八丈富士に主人と登り、浅間神社で祈願してきました。おかげさまで無事、健康な赤ちゃんを産むことができました。火山の島だからでしょうか、この島は本当に土地のエネルギーが強いと思います。三原山の麓にある多くのシダが自生しているヘゴの森(私有地のためガイドが必要)も亜熱帯の雰囲気を体験していただけるお薦めスポットですね」

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青い海を前に芝生の上で踊るフラダンスが最高です

日々、自然と触れ合いながら暮らしている菅原さんの目下の趣味はフラダンス。島内にある3つのフラダンスサークルのひとつに所属し、練習にいそしむ。

「八丈はマウイと姉妹島で、ハワイとは縁が深くフラが盛んです。毎年ハワイ島のイヴァラニ・カリマさんという先生がお見えになり、小学校でフラの交流会が開かれます。個人的には、南原の千畳敷近くにある芝生の広場で、青い海を前に踊るひとときが最高ですね。そのあとは、もちろん温泉です(笑)」

次回はひょうたん島のもう一つの火山、三原山に挑みます。