第2灯 電力自給なら「天然住宅」。 その感動的なお家づくりとは
我が家の建築は、「天然住宅」さんにお願いしました。
電氣もお野菜も自給自足していこうと思ったきっかけは、3.11の原発事故後に読んだ田中優さんの「地宝論」というご本。
天然住宅は優さんが立ち上げた非営利の住宅会社です。
いつかお家を建てることになったらこちらでお世話になろう!と、20代の頃から決めていたのでした。
2013年12月。
イメージ通りの土地が見つかってすぐに、天然住宅にお話を聞きに行きました。
国産の木を使うこと、伝統組法を用いること、化学物質を出さないことなどなど、こだわりの家づくりに改めて感銘を受けて、「やっぱり天然住宅以外は考えられない!」と思い、翌月2014年1月に契約。
生まれて初めての家づくりは、楽しくて仕方ありませんでした。
木のぬくもりをイメージしながらあれこれ希望を伝えて、それが設計図として目に見えるカタチとなるとテンションアップ!
スタッフのみなさんは優しくて親切で知識が豊富。
お会いするのが毎回楽しみで、次回の打合せが待ち遠しい!
天然住宅は、宮城県栗原市にある栗駒の山と提携して国産杉を伐採してお家を建てています。
間伐になるので山は健康を取り戻してハッピー。
国産の良質な木材で強い家が建てられるので建て主もハッピー。
お互いWin-Winの関係です。
木へのこだわりや愛でいっぱいの天然住宅。
契約をして早々、おもしろいお願いをされました。
それは、
「栗駒に行って、サトウさんたちの手で、柱となる木を伐ってきてください」
というお願い。
「わぁ!楽しそう!行きたいです!」
二つ返事で承諾しました。
2014年1月19日。
大黒柱となる木を伐りに宮城県の栗駒まで行ってきました。
建築木材は乾燥している冬にしか伐採しないので、たまたまこの時期に契約したわたしたちはとてもラッキー。
ちなみに、伐採は満月から新月のあいだの時期にするのがよいと言われています。
いわゆる「新月伐採」と呼ばれるものです。
新月に向かうほど木の中の水分は根の方に移動するので、伐採しやすくなります。
しかも幹の水分が少ないために乾燥しやすく、良質な木材になるのです。
ということで、わたしたちも満月を過ぎて数日経ったこの日に行ってきました。
▲まだまだ春は遠い雪深い山。
雪がしんしん降る山はとても静かで、心が澄みます。
山の神様にしっかりご挨拶。
不思議なことに、ご挨拶をしたら吹雪がピタリと止みました。
▲こちらの木に決定。
真っ直ぐ空に向かって伸びた姿勢が綺麗です。
▲まずは木こりさんが最初の一刀を入れます。
▲生まれて初めて持ったチェーンソー。
心をこめて伐っていきます。
▲最後は楔(くさび)を使って倒点まで打ちこみます。
このとき偶然にも木と木の間から太陽の顔が覗き、荘厳な光景となりました。
▲木がメキメキと大きな音を立てて倒れていきます。
興奮と感動で胸がいっぱい!
▲「がんばったね!よくがんばったね!」と労いの言葉が自然と口から出て、木を何度もさすります。
出産を終えた産婦さんに寄り添うような、そんなきもち。
そして「よろしくね!これからどうぞよろしくね!」と何度も何度も声を掛けました。
この木は伐採されて命を終えると思っていたのですが、倒れていく瞬間に新しい命が吹き込んでいくのを感じました。
それは山に生える木としての命から、人の住まいとなる木の命に生まれ変わるような、そんな連綿たる命の営みに遭遇したのです。
その自然の壮大なエネルギーを目の当たりにして涙が止まりませんでした。
命ある食べ物から食事をいただいて今日の自分のカラダになるように、命ある木から木材をいただいてこれから暮らすお家になる。
「住む」のではなく「住まわせていただく」。
大黒柱伐採は、大切なことに気づかせてもらえる貴重な経験になりました。