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みなさま、はじめまして。パリ在住のマダムミキです。4月より、女性自身webにて「パリの旬」を連載させていただくことになりました。

早いもので、パリで暮らし始めて14度目の春。フランスの古い一族に嫁ぎ、2人の子供に恵まれ、子育てと仕事に奮闘する日々。くたくたの毎日を生きています(笑)。

ですが、パリは退屈を許さない魔法の街。どんなに生活が大変でも、1歩外に飛び出せば、あらゆる楽しみ、感動、おいしいがそこらじゅうにあふれています。話題のレストランやパティスリー、ファッションショー、映画祭、展覧会、そしてパリの主役たちである、パリジャンにパリジェンヌ。

このページでは、そんなパリの最新情報を四季折々のイベントに絡めながら、みなさまにそっとお届けしたいと思います。

古いものと新しいものを上手に組み合わせるセンスは世界一。伝統と新しさが同居するパリの食、そして美しいデザインを特に力を入れてご紹介していきたいと思っています。instagram(@madamemiki)では、私が切り取ったパリの今の表情を、毎日どんどんアップしていますので、そちらもお楽しみください。マダムミキと一緒にパリを歩きましょう!

 

さて、第一回はフランスにとどまらず、ヨーロッパじゅうの人々が愛する「ホワイトアスパラ」をご紹介いたします。

ヨーロッパに春を告げる行事、イースター(復活祭)を終えたパリは、いよいよ春本番。日に日に陽は長くなり、街は彩りを増してきました。

もちろん、食卓も華やかになってきます。マルシェにずらっと並ぶ春野菜や果物。旬が近づくにつれ、お値段も手ごろになっていきますが、味と値段のタイミングを見極めることが大切。パリジャンたちは、毎週じっと、並んだ野菜の顔色と店主のごきげんをうかがっているのです。パリに暮らしはじめ、野菜の旬がとても短いことを知りました。

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左:まぶしい光と彩りを取り戻したパリの公園
中:イースターデコレーションのSebastien Godard、Tuileries店
右:マルシェに並ぶアスパラガス

春野菜の中でいちばんの人気者は、アスパラガス※。特に「畑の貴婦人」と呼ばれるホワイトアスパラは、美食家ルイ14世が自分の菜園で年中栽培してしまうほど、大好物だったとか。19世紀の画家、エドワール・マネも『一束のホワイトアスパラ』という絵を残していることから、フランス人のホワイトアスパラに対するただならぬ思いと、その歴史を確認することができます。現在に至っても、専用の鍋や皿が存在するほど、アスパラガスへの特別待遇ぶりは変わりません。私はなんと、パスタ鍋と間違えて購入してしまったのです。ゆで上がり、粗い網の目から四方に飛び出したパスタをご想像下さい(笑)。

甘みとともに口の中に広がるほろ苦さ、独特の食感を持ったホワイトアスパラ。細いグリーンアスパラしか知らなかった日本人の私でさえ、今ではこれを食べないと春を迎えた気がしません。

では、どうしてヨーロッパ人はホワイトアスパラを愛してやまないのでしょうか。

じつは、アスパラガスはおいしいだけではありません。アスパラは、おもにアスパラギン酸、ルチン、葉酸を多く含み、高血圧や貧血予防、利尿、健胃、抗酸化作用があり、高い疲労回復効果、おまけに美肌効果まであるといわれる、〝スーパー野菜〟なのです。古い時代には、薬用として重宝されていたようです。野性のカンとでもいうのでしょうか、長くけだるい冬に耐えたヨーロッパ人が、こぞってアスパラを求める秘密がここに隠されているのかも知れません。

肝心の食べ方ですが、フランスでは、つるんと真っ白にゆで上がったホワイトアスパラを、甘ずっぱいヴィネグレットソースでいただくのが定番です。私のおすすめは、こんがりホクホクにグリルし、オリーブオイルとパルメザンチーズ、塩・こしょうをたっぷりかけていただく、イタリア人直伝レシピ。グリルの香ばしさがアスパラの甘みをより引き立てます。ドイツやオランダのように、バターや卵をふんだんに使った濃厚ソースとの相性もぴったりですね。アスパラ婦人はいろいろな衣装をまとい、私たちの春を楽しませてくれます。

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左:マルシェの無農薬野菜と産みたて卵
右:アスパラ婦人専用の鍋。お湯からアスパラの頭を少し出し、立てた状態でゆでることで、バランスよいかたさにゆで上がります。

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左:イタリア風ホワイトアスパラのグリル。
【簡単レシピ】
アスパラの皮をむき、下2cmほどを切り落としたら、フライパンでじっくりと焼く。たっぷりのオリーブオイルとパルメザンチーズ、塩・こしょうで。
右:エドワール・マネ作『一束のホワイトアスパラガス』

※緑と白のアスパラガスの違いは、緑は太陽のもとで育ったもの、白は土寄せをし、光をシャットアウトして育てられたもの。