「がんが見つかると、まず地域の拠点病院の外科を紹介されるケースが多い。もちろんがんの進行にもよりますが、通常はここで標準的な外科手術を提案されるはず。がんと診断され、あわててそのまま手術してしまう人も多いのですが、それは後悔のもと。一歩立ち止まって、じっくり考えることが大切です」

 

こう語るのは、作家で神経内科医の米山公啓先生。どうして手術を急ぐと後悔することになるのか?

 

「たとえば胃がんと診断され、全摘手術を受けると、術後満足に食事ができなくなるなどのダメージが残る。がんは取ったけれど、それで治ったと言えるのか?全国には、一般的な外科手術ではなく、体に負担をかけずにがんを取る術式をメインに取り組んでいる名医もいます。多くは保険適用になり、経済的負担もほぼ変わりません。がんをきちんと治し、かつ、いかに普通の生活に早く戻れるか、さまざまな治療法が研究されている。それを選択する権利が患者にはあるんです」

 

そこで大事なのが、別の病院の医師に治療法の意見を聞くセカンドオピニオンだ。

 

「最初の担当医に気兼ねする人もいますが、自分の命が関わる問題。気兼ねせず、内視鏡が得意な病院、放射線治療が得意な病院を訪ねて、自分のがんにどの治療が適しているか、納得するまで聞き、そのうえで判断することです。ただ、その際、必ずかかりつけ医(近所の内科医でよい)の紹介状が必要。逆にいえば、紹介状さえあればどんな有名医でも、ちゃんと診察してもらえると思ってください。みなさんが考えているより、医師の敷居は低いもの」

 

かかりつけ医から、近くで評判のいいがんの医師を紹介してもらうのが手っ取り早いが、地域医療に従事する医師はあまりこうした情報を持っていないのが実情とか。

 

「最終的には、自分で治療を受けたい医師を探し、この医師に診察してもらいたいから紹介状を書いてほしいと頼むことになる。普通なら、喜んで書いてくれます。万一、知らない医師への紹介状は書けないなどと渋るようなら、かかりつけ医失格。さっさと別の病院へ行き紹介状を書いてもらうことです」

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