この5月、名古屋高裁で、徘徊していた91歳の認知症の男性がJR大府駅構内で電車にひかれ死亡した事故で、男性の91歳の妻に、360万円の損害賠償をJR東海に支払うことを命じる判決があった。

 

「今回の判決は、徘徊する高齢者を家族は一歩も家の外に出すな、もしくは施設にあずけなさいと言っているのに等しい。正直なところ、妻にも確かに見守り責任はあるので損害賠償はしなければならないが、その額を数万円程度にするなど、進行する高齢化社会に適した判決が出てもよかったのではないかという意見もあります。ただ現状、認知症の家族を介護している人は、そうしたリスクが身近にあることをしっかり肝に銘じておくべきですね」(新潟大学名誉教授・法律学・西野喜一さん)

 

以下のチェックリストは、東京都が地域のお年寄りの見守りのために作ったもの。自分の親も含め、地域の独り暮らしのお年寄りでひとつでも当てはまることがあったら、認知症や突然死の兆候として、周囲の見守りが必要になる。

 

【高齢者の見守りチェックリスト18】

 

●顔色が悪く、具合が悪そうに見える。急に痩せてきたような気がする。

●いつも参加している町内会、サロン、サークルといった地域の集まりや行事に急にこなくなった。

●今まで挨拶していたのにしなくなった。

●家に閉じこもって、ほとんど外に出てこない。

●話がかみあわなくなった。同じ話を何回もするようになった。

●長い間、顔を見掛けない。

 

●暴言を吐くなど、性格が変わった。

●昼間でも家に電気がついたままになっている。

●何日も同じ洗濯物が干したままになっている。

●お店などで勘定ができない。同じものを大量に購入している。

●郵便受けに新聞や郵便物がたまっている。

●身体(顔や手足など)にあざがある。あざがあるが話したがらない。

 

●異臭がする。

●家の中から怒鳴り声がする。悲鳴が聞こえる。

●庭が荒れている。

●認知症や寝たきりの家族を抱え、介護者が疲れている様子がある。

●髪や服装が乱れている。季節に合わない服を着ている。

●最近、知らない人が出入りしている。

 

現在65歳以上の高齢者のうち認知症の人は約500万人。徘徊でトラブルも増加し、一昨年には、全国でのべ約1万人が徘徊の末、行方不明となっているという数字もある。家族はもちろん地域全体で見守ることが、お年寄りを徘徊や行方不明から救う大きな一歩なのだ。