今年6月、厚生労働省が人口動態調査で、がんなどの都道府県別人口10万人に対する死亡率を発表した。本誌はその数値をランキング化。その結果は次の通りだった。

 

【悪性新生物(がん)】1位・秋田県。2位・青森県。3位・島根県。4位・山口県。5位・長崎県。

 

【脳血管疾患(脳卒中など)】1位・秋田県。2位・岩手県。3位・山形県。4位・長野県。5位・新潟県。

 

【自殺】1位・秋田県。2位・岩手県。3位・新潟県。4位・島根県。5位・群馬県。

 

不名誉なワースト1に輝いたのは秋田県。その原因はどこにあるのだろう?そこで、本誌は秋田県を取材。死因ごとに話を聞いた。

 

【悪性新生物(がん)】

「秋田がワーストなのは、喫煙率が高かったことで肺がんが多かったこと。そして胃がんが多かったことに関しては、食生活において塩分が多く、井戸水を飲むことが多かったという、ライフスタイルの影響が要因なのではないでしょうか」(秋田大学大学院医学系研究科(公衆衛生学講座)・金子善博先生)

 

県庁の担当者も「早期発見のためにがん検診の受診率の向上を目指しています」と言うが、数値回復には時間がかかると思われる。

 

「健康への影響というのは、何十年後かに出てくることが多い。実際、秋田県で喫煙率が減っていても肺がん患者が増えているというのは、過去の影響が続いているためでしょう」(金子先生)

 

【脳血管疾患(脳卒中など)】

「とにかく秋田は米がうまいし、日本酒もおいしい。そのうえ公共交通機関も未発達だから、近い距離でも車を利用する人が多いように思います。それで運動不足になり、太ってしまう人も多い」(秋田県民)

 

脳卒中を“あたる”と表現する秋田県。元来の「濃い味文化」には県の健康推進課の担当者も頭を悩ませている。“子供の味覚”から

改善していく必要もあるだろう。

 

「減塩には力を入れています。秋田県栄養士会に委託して、幼稚園などで『薄味教室』を開き、保護者にも味見してもらっています。ほかにも高校生から減塩レシピを募集し、コンビニやスーパーで商品化したりしました」

 

【自殺】

「秋田に自殺者が多いのは、最低賃金も有効求人倍率も低く、経済的に苦労している人が多いからだと考えています。加えて、少子高齢化で過疎化が進み、地域に活気がないことも、自殺が多い背景となっているのでしょう」(金子先生)

 

そこで雇用や職場の悩みを相談できる窓口をつくるなどして、事業主を対象とした労務関係の講習会も開催した。

 

「国内経済は少し回復しているようですが、秋田県でも平成15年と比べると自殺者が4割減りました」(金子先生)

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