「依存症とは、悪いとわかっていても続けてしまうコントロール障害のこと。毎日晩酌する人は、お酒に依存はしていますが、『依存症』とはいえません。酔いつぶれたり、体を壊しているのに飲み続ける人は、依存症といえるでしょう」(埼玉県立精神医療センター・成瀬暢也副院長・以下同)

 

現在、依存症患者の増加が問題視されており、今年厚労省が発表した実態調査では、アルコール依存症患者が109万人と100万人を突破。ギャンブル依存症に至っては536万人と、世界最悪レベルであることが明らかになった。

 

「治療につながる人の数はさらに少なく、アルコール依存症の場合でわずか4万人。患者数の25分の1です」

 

買い物依存症やセックス依存症に国際的な診断基準はないが、依存の原理は同じ。いずれも、背景には人間関係の問題があるという。治療でも、集団療法や自助グループへの参加を通して、孤独を癒すことで回復へ導いている。

 

「人に癒されることができない方の“孤独な自己治療”が、依存症の根っこにあります。好きこのんで酒やギャンブルに依存する方ばかりではないのです」

 

生きづらさが際立つ現代において、依存症と無縁の人などいないのだ。

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