「気づけば消費者金融9社からの借金が、合計500万円。3年かかって返済し、買い物依存症も克服しました」と語るのは、この7月に一般社団法人「ウーマンフィナンシャルカウンセリング協会」を立ち上げたばかりの西村優里さん(35)。自身の経験を生かし、同じ悩みを持つ女性の相談に乗っている。
「私も父親がアルコール依存症で、貧乏と父の暴力から逃れるように、大学時代に始めたアルバイトから物欲に火がつきました。次第に高額なローンも組むようになり、返済が追いつかなくなると、消費者金融で借りては返すの繰り返し。毎日不安に押しつぶされそうになりながらも、ほかのストレス解消法を知らなかったのです」
しかし、28歳のときについに限度額を超え、消費者金融からもおカネが借りられなくなった。借金の返済方法が浮かばず、就職先にバレることへの恐れもあって、司法書士事務所に駆け込んだという。
「債務整理でよく耳にするのは、任意整理と自己破産ですよね。自己破産は、借金は免除されますが、代わりに自分の財産もすべて失います。私は仕事にも就いていて、頑張って返済したいという意思もあったので、貸主と交渉して利息などを引き直す、任意整理で返済を決めました」
月々10万円の返済を3年間。物欲に負けそうになると「ここで元に戻ったら、人生を棒に振る」と、返済計画表を見つめ「あと◯回の我慢」と言い聞かせた。
「モノが欲しくなったときには、なぜ欲しいのかを問いかけるようにしましょう。モノ自体が必要なのではなく、むなしさや寂しさを埋めるための買い物欲だったら危険サイン。このおカネで将来何ができるのか、未来志向で考えて」
思考を変えれば行動も変わる。依存症脱却の第一歩は、「回復」への強い決意だ。
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