1歩院内に足を踏み入れると、ギャラリーかと錯覚してしまうほどたくさんの現代アートがちりばめられた、“奇抜すぎる病院”。それが東京都にある江戸川病院だ。

 

「病院って白壁でつまらないから、面白いほうがいいかなと。従来の概念を覆してもいいのではないかな、と思ったのが装飾を始めたきっかけです」

 

加藤隆弘院長(48)はそう語る。祖父の代から80年以上続く病院を継いだ3代目だ。

 

「アメリカに留学していたころ、小児科の壁にかわいい絵が描いてあったり、CT装置にお城の飾りがついていたりと、アートが施された病院があって、『これは日本で見たことがない』と思ったんです」

 

ゾウの顔が取り付けられたMRIは、そうしたアメリカでの経験がヒントになっていた。病棟の廊下の水槽ではウミガメが泳ぎ、屋外にはフラミンゴやエミュー、アルマジロもいる。院内のアートやオブジェの制作を手掛けているのは、“デザイン室”にいる専門スタッフ3人。

 

斬新な発想にも驚かされるが、“現代医療の革命児”ともいわれる加藤院長は、トモセラピーと呼ばれる先端機器をいち早く導入するなど、高度な医療を提供することで医学界では知られている。医療面だけでも十分に説得力があるのに、奇抜なアートにそこまでこだわる理由は?

 

「だって、ひたすら『当院は患者さん第一です』とありきたりなことを言っても、誰も聞いちゃいないですから(笑)」

 

じつは、院内のアートは日々どこかに絵やオブジェが追加されている。完成することがないというのだ。この壮大なアートには、大きな意味が込められている。

 

「いつもどこかを変化させることは、『この病院は、細かい部分にも気を使っています』という患者さんへのメッセージなんです」