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現在、女性の伝統工芸士は全国に614人。女性蔑視が当たり前だった職人の世界で戦う彼女たちは、女性目線の新たな感性で優れた作品を生み出し続ける。そんな男社会だった“伝統”に風穴を開ける、京都で活躍する女性伝統工芸士を紹介。きらめく用の美はまさに匠の業だ。

 

【京指物】小谷純子

 

「敷居が高いイメージの伝統工芸品を、もっと身近に使っていただけるよう、心がけています。自然の木の色を生かしながら『かわいい』と思ってもらえるものを作っていきたいです」

 

生まれも育ちも京都という小谷さんは、前職はコンピューターのプログラマーという変わり種だ。

 

「日進月歩のコンピューターでは、私のような中途半端な技術者はいずれ仕事がなくなると思って。一生続けられる仕事に就きたいと32歳で会社を辞め、飛び込んだのが職人の世界でした」

 

開校したばかりの京都伝統工芸専門校(現・京都伝統工芸大学校)を経て、木工職人に弟子入りし、42歳で独立を果たした。

 

棚や箪笥、お茶道具、彫刻や和照明、それに木桶など、木工芸全般が含まれる伝統工芸「京指物」。お寺の欄間などの彫り物を得意とした師匠から、小谷さんは繊細な彫刻の技術を受け継いだ。とくに「無骨なイメージの木工でも、かわいらしいものが作れるから」と、象嵌という技法を用いた作品を多く手がけている。

 

「木の表面を浅く削り、へこみを作って、そこにさまざまな形にカットした突板と呼ばれる薄い木をはめ込みます。色合いの違う突板を使うことで、さまざまな模様が描けるんです」

 

師匠はもちろん、多くの先輩たちとの出会いがあったからこそ、いまの自分がいると話す小谷さん。

 

「技術や知識はもちろんですが、彫刻刀などの道具の多くも引退した先輩が譲ってくれたものです。私も、いずれは次代の京指物を担う若い職人を育て、先人から譲り受けたものを手渡していきたい、そう考えています」


【小谷純子/こたにじゅんこ】

’64年、京都府生まれ。’98年、京都伝統工芸専門校卒業と同時に京都市内の彫刻工房に弟子入り。’06年、42歳で独立を果たす。’10年、伝統工芸士に認定。京都木工芸協同組合で、初の女性伝統工芸士に。

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