4月20日、福島第一原発から漏れ出していた汚染水が流れる港湾内でアイナメとムラソイが採取された。それぞれから検出されたセシウムはなんと1キロあたり43万ベクレル。水産庁が定めた放射性セシウムの安全基準の値は1キロあたり100ベクレル。基準値の実に4千300倍のセシウムが検出されたのだ。

 

原発事故以来、水産庁は東日本の魚介類のセシウム検出量を調査し続けている。高濃度のセシウムが検出されている「危ない魚」の特徴は3つ挙げられる。

 

ひとつは、海底にすんでいるために、底にたまったセシウムの蓄積の影響を受けやすい魚。2つ目は、セシウムを含んだ小魚を食べる食物連鎖の上位にいる魚。3つ目は、沿岸に近いところで、陸に近接している場所に生息している魚である。消費者問題研究所の垣田達哉代表はこう指摘する。

 

「汚染水流出の影響が大きいのは底のほうにすんでいる魚です。海面の上のほうにいる魚と違って、底にいる魚はずっと、影響を受け続けるんですよね」

 

東京海洋大学の水口憲哉名誉教授は、小魚を餌にする肉食魚から高いセシウムが検出されることについてこう語る。

 

「ヒラメはコウナゴ(イカナゴ)を餌にしています。大型で肉食の魚ほど、放射性物質がたくさん体内に蓄積される可能性が高いといえるでしょう。海の魚の放射性物質の汚染は、小型の魚から大型へと濃縮されるのです」

 

福島県沖以外でも、茨城県日立市沖で基準値の10倍の1千ベクレルがスズキから検出されている。

 

「スズキは陸に近い沿岸部にも生息し、今でも高い数値の放射性物質が検出されていますから、これからの影響も懸念されます」(垣田代表)

 

危険度が最も高いのは、底魚であるアイナメやヒラメなど。次いで、1千ベクレルを検出したスズキも汚染の危険度は高い。危険度は中程度だが、10月を過ぎると福島第一原発から汚染水が流れ込む福島県沖に近付くサケも、今後は注意が必要だという。

 

「これから汚染水が流れている沿岸部を通って、育った川に戻ってきたサケは、セシウムに汚染されやすくなることが考えられます」(垣田代表)

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