東京五輪開催は決まった。最終プレゼンで「状況はコントロールされている」と断言した安倍首相。ところが5日後の民主党大会で質問された東京電力(以下、東電)の山下和彦フェローは「今の状態はコントロールできているとは思わない」と、首相の“公約”を真っ向から否定した。

 

最初に汚染水漏れを東電が認めて以後、数多くの漏えい事故が報告されている。汚染水は本当にコントロールできているのか?本誌は、現場作業員たちの“生の声”を聞いた。

 

「漏れたタンクは継ぎ目をボトルで止める鋼鉄製ですが、ボルト締めにも順番があり、力加減も均一でないといけない。単純作業と思われるかもしれないが、ちゃんとした技術者が必要。技術のない人員が突貫工事を行えば……今日のような事態を招くのも、当然のことです」

 

徒労感をにじませながら、こう語るのは東電の協力会社の社長・A氏だ。同社の作業員・B氏は、苦笑しながら言った。

 

「水をぶち込んで、その水が汚れたらタンクにためるだけ……。それに、原発の建屋だけじゃなく、敷地そのものが高線量で、そこに降る雨はどうなると思います?そんな状態を指して、コントロールできてる、というのはおかしいでしょ」

 

急ごしらえされた問題のタンクは1千立方メートルのもの。組み立てに使用したボルトが『シャーボルト』という特殊なもので、見た目にはガードレールなどに使われる普通の六角ボルトのようだが、一定の圧がかかるとその頭が外れるようにできている。余震などで余計な圧がかかった場合、手の施しようがない可能性大。そのタイプのタンクが300基もあるというのだ。

 

”アベノミクス第4の矢”とも称された五輪招致成功。株価が急騰するなど日本経済は沸き立った。しかしこのことが、原発事故収束のためには「逆効果になる可能性もある」とAさんは言う。

 

「うちの社員にも、原発ではなく除染作業に行きたいと言う者が少なくない。さらに今後は、五輪が決まり、そちらの建設現場にいい人材はどんどん流れてしまうことでしょう」

 

事故から2年半しかたっていないのに、作業員が毎日使い捨てる作業服はJヴィレッジに山積み。原発から出る木くず、鉄くずも、たまる一方。このままでは、原発の20キロ圏内は、あっという間に汚染水のタンクと、原発から出るゴミで埋め尽くされるだろうという。Bさんは言った。

 

「また大きな地震や津波が来たら……。がれきのほかに、今度は高濃度の汚染水がぶちまけられる。とてもじゃないが、人は近づけない。そうなったら、東京で五輪なんてできなくなるんじゃないですか」

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