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「私は以前から、東京オリンピック・パラリンピック終了後に、日本国内の景気が落ち込み、マンションの価格も落ちていくと予想していました。しかし新型肺炎ショックによって、それを待たずしてマンション価格が暴落してしまう可能性も出てきました」

 

そう語るのは、経済ジャーナリスト・荻原博子さん。

 

「中国経済の停滞は日本経済にも大きなダメージを及ぼします。私が危惧しているのは、先ほど述べたようなマンション価格の下落です。5~6年前、日本のタワーマンションを購入する中国人が増えました。当時は中国経済がバブルの様相を見せていたからです。しかし中国経済が落ち込むことにより、中国人による日本のタワマンの“投げ売り”が相次ぐのではないかと心配しています」

 

加盟国の経済の安定を図るために活動している国際機関のIMF(国際通貨基金)も、コロナショックによる日本経済への悪影響を憂慮しているという。

 

「IMFは日本経済に関する年次審査報告書を、2月10日に公表しています。そのなかで新型コロナウイルスによる肺炎感染の拡大を“新たな景気へのリスク”として、警戒感を示しているのです。担当者は、中国と日本との間で貿易や投資が冷え込む可能性を指摘しています。さらに高齢化による社会保障費増大で財政悪化が深刻になることを懸念し、消費税率を2030年までに段階的に15%に引き上げるよう提言しました」(経済誌記者)

 

コロナウイルスのせいで消費税が15%に!? 昨年10月に消費税がアップし、家計の苦しさを肌で感じている主婦にとっては、10年後のこととはいえ、この“負担増プラン”には納得できない人も多いのではないだろうか。

 

それにしても消費税が5%アップすることで、家計の負担はどのくらい増えるのだろうか? 第一生命経済研究所主席エコノミスト・永濱利廣さんが試算してくれた。

 

「夫婦2人以上の平均的な家庭では、年間11万3千円の負担増となります。安倍晋三首相はすでに2回消費税を引き上げていますので、安倍政権が続いているうちは消費増税はないと思われます。しかし、総理大臣が交代すると可能性も高まりますね」

 

いまよりも年間11万3千円の負担増……。愕然とするような未来予想図だが荻原さんは言う。

 

「“国際通貨基金の提案”と聞くと、何だか言うことを聞かなくてはいけないように思ってしまいがちですが強制力はありません。実はこの“外圧”を演出しているのは、日本の財務省なのです。いわば“自作自演”のようなものなのです」

 

自作自演とは? IMF提案のカラクリについて、元財務官僚で経済学者の高橋洋一さんが解説してくれた。

 

「日本のIMFへの出資比率はトップクラスで、いわば“大株主”なのです。組織のナンバー2である副専務理事ポスト4つのうち、1つは日本が確保しており、歴代財務省財務官の天下りポストになっているのです。ほかにも日本はIMFの理事ポストも持っていて、こちらを務めているのも財務省からの出向者です。今回、話題となっている年次審査報告書は各国政府との協議を経て作成されます。私も財務省時代には、そうした報告書作成の協議に加わったこともあります。つまり“IMFの報告書”という体裁をとっていても、実質は日本政府の主張なのです。消費税15%に関しては、かねてからIMFは提案を続けてきました。それは財務省が増税に意欲を燃やしているからにほかならないのです」

 

今回の提案も、“新型肺炎による経済的リスク”に、財務省が便乗し、増税を達成するために危機を強調しているということなのだろうか。荻原さんも言う。

 

「消費税15%実現は“財務省の悲願”なのです。でも企業の倒産が増加し、給料も上がっていない状況で、消費税だけアップさせるなんて“あってはいけないこと”です」

 

これ以上の家計悪化を防ぐためにも、一刻も早い新型肺炎問題の終結を祈りたい。

 

「女性自身」2020年3月3日号 掲載

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