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4月19日に予定されていた秋篠宮さまの「立皇嗣の礼」。政府は14日に閣議で延期を決定した。新たな開催時期は、早くても秋以降になる見込みだという。

 

さらに、皇位継承策についての議論も先送りになるという。菅官房長官は14日の記者会見で、皇位継承の議論は一連の儀式を終えてから始めるか問われ「基本的にはそういう形だ」と認めた。

 

立皇嗣の礼の延期が閣議決定された翌日の4月15日、産経新聞が《皇位継承で『旧宮家復帰』聴取 政府が有識者ヒアリングで》と報じた。内閣官房の職員が、旧宮家男子の皇籍復帰に関する考えを有識者らに尋ねているというのだ。

 

旧宮家とは、1947年に皇籍を離脱した11宮家のこと。現在の皇室には悠仁さまお一人しかいない、20代以下の「未婚の男系男子」だが、旧宮家には7人ほどいるといわれている。そのため、女性・女系天皇に反対する一部の保守派は「旧宮家の皇籍復帰」を求めている。

 

驚くべきは、政府が検討しているという旧宮家男子の「皇籍復帰の方法」だ。

 

産経新聞の報道によれば、「現存する宮家に養子に入る」「皇籍取得」のほかに「旧宮家の未婚の男子が内親王と結婚」という方法についても有識者に考えを聞いたというのだ。

 

「是が非でも男系による継承を維持しようとする現在の政権の思惑が見え隠れしています。現在、内親王は愛子さまと、眞子さまと佳子さまのお三方だけ。しかし眞子さまは小室圭さんとの婚約が内定しています。つまり旧宮家の未婚の男子と結婚する可能性があるのは、愛子さまと佳子さまだけです。政府はとくに、天皇陛下のお子さまである愛子さまが旧宮家から“婿取り”することを念頭に置いているのでしょう」(皇室担当記者)

 

いったいなぜ、そんなプランが浮上したのか――。

 

「そもそも『旧宮家男子の皇籍復帰』は一度、完全否定されているのです」

 

そう語るのは、皇室ジャーナリスト。

 

旧宮家の皇籍復帰に関しては、小泉純一郎政権だった’05年の「皇室典範に関する有識者会議」でも議論されたのだが《国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難》と、はっきり結論付けられている。

 

さらに有識者会議は、現在の皇室と旧宮家の共通の祖先は約600年もさかのぼり、極めて遠い血筋であるため《これらの方々を広く国民が皇族として受け入れることができるか懸念される》と指摘していた。

 

「一般人として暮らしてきた旧宮家の男性が急に皇籍復帰しても、国民は納得しないでしょう。しかし、愛子さまと旧宮家の男性が結婚すれば、そのお子さまは『男系』ということになります。愛子さまのお子さまに『男系男子』が生まれれば、皇位継承資格者が増えるとともに女系天皇の誕生を阻止できる――。『男系』に固執する安倍政権は、そのように考えたのかもしれません」(前出・皇室ジャーナリスト)

 

はたして「内親王と旧宮家の男子との結婚」は、安定的な皇位継承につながるのだろうか。象徴天皇制を研究する名古屋大学大学院准教授の河西秀哉さんは、次のように指摘する。

 

「この案の問題点は、内親王が皇統維持のために“政略結婚”させられたという印象を、強く持たれてしまうことです。上皇陛下と美智子さまの結婚、天皇陛下と雅子さまの結婚、それらは『恋愛結婚』でした。だからこそ世間の風潮と合い、国民から支持されたのだと思います。ところが『旧宮家の未婚の男子が内親王と結婚』という案は、本人たちの意思とは関係なく、家を守るためだけに結婚させられたという印象を与えかねません。前時代的なやり方だと見られてしまうのではないでしょうか」

 

雅子さまが外交官としての夢半ばにして皇室に嫁がれたのは、ひとえに天皇陛下の一途なご求愛があったからだった。

 

天皇陛下は、周囲が推薦する“お妃候補”が何人もいたが、ご自身の思いを貫き、雅子さまを選ばれたのだ。

 

「雅子さまが一人の母親として願われているのは、愛子さまにも、結婚相手は自分の気持ちで決めてほしいということでしょう。しかし、皇族は政治的な言動を禁じられています。政府が検討する皇位継承策について、天皇陛下や雅子さまがご意見を表明することはできないのです。愛子さまの将来を案じ、雅子さまは非常に苦悩されていると思います」(前出・皇室ジャーナリスト)

 

そもそも’05年の小泉政権下に作成された報告書では《皇位の安定的な継承を維持するためには、女性天皇・女系天皇へ途を開くことが不可欠》と結論付けられていた。しかし、これを封印してしまったのはほかでもない、翌年政権の座についた安倍首相だった。

 

今度はコロナ禍に隠れるようにして、愛子さまの未来に関わる問題までも推し進めようとする動きに、雅子さまの苦悩は深まるばかりだろう――。

 

「女性自身」2020年5月5日号 掲載

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