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4月17日の会見で、加藤勝信厚労相が「具体的な段取りを調整し、早期に取り組む」と表明した新型コロナウイルスの抗体検査。対象は無作為に選んだ数千人で、4月中にも開始する予定だ。

 

一方で、まだまだ始まったばかりの検査。何がわかるのか、今まで散々叫ばれてきたPCR検査と何がちがうのかなど、わかりにくい部分も多い。

 

そこで、3月より先駆けて抗体検査を導入している、ナビタスクリニック理事長で内科医の久住英二さんに、まずは基本知識を解説してもらった。

 

「PCR検査は、いま現在、体内にウイルスがいるか調べるもので、抗体検査は過去に感染したことがあるのかを調べる検査です。ウイルスに感染すると、体内では抗体が作られます。抗体検査では、血液中に含まれるこの抗体を検出します。抗体の有無を判断するのに必要な時間は15分ほど。作業自体も病院などで採血をして、検査キットに血液をごく少量たらし、さらに試薬を加えるだけと簡単です」(久住さん・以下同)

 

気になるのは検査で陽性、つまり“抗体あり”と判定された場合だ。体に新型コロナウイルスに対する免疫ができていると考えていいのだろうか。

 

「病気によって、抗体でウイルスを無力化できるタイプと、無力化できないタイプがあるので、必ずしも抗体がある=感染しないとは言い切れません。ただ、新型コロナウイルス感染症は、おそらく無力化できるタイプだと考えられています。中国の症例では、感染歴のある人の血液を治療中の感染者に輸血したところ、症状の改善効果がみられたという報告があります。つまり、感染して治った人たちの血液に含まれる抗体には、新型コロナウイルスに対抗する力がありそうだということです。“抗体があれば絶対に再感染しない”とまで証明されたわけではありませんが、免疫が獲得できている可能性は高いと考えています」

 

久住さんの言葉を裏付けるように、アメリカのニューヨーク州では、経済活動の再開に向けた判断材料とするために、4月20日から抗体検査を開始。約14%の人に抗体が確認された。イギリスでは抗体検査で陽性とされた人に“免疫証明書”を発行し、免疫を獲得した人から外出制限を緩和していく計画も検討されている。

 

世界中で始まった抗体検査だが、その精度はどうなのだろうか。

 

「世界中で需要があり、数々の検査キットが開発されています。ただ、それぞれのキットがどのくらいの感度なのかは、まだわかっていません」

 

ナビタスクリニックで導入しているのは、中国メーカーが製造し、日本のクラボウが輸入販売している検査キットだという。

 

「別のウイルスの抗体に反応しないことがチェックされた製品で、基本的には新型コロナウイルスの抗体にのみ反応します。同じキットを使って国立感染症研究所が、PCR検査で陽性とされた患者で、抗体の有無を調査していますが、発症から13日以上経過した患者では約97%の陽性率だったそうです」

 

つまり、発症から約2週間が経過した患者なら、ほぼ抗体を検出できるということだ。

 

「ただ、この調査はPCR検査が必要とされるほど症状のある人を対象にしています。軽症や無症状の人では、作られる抗体の量が少ない可能性があり、このキットで検出できるのかという未知の部分もあります」

 

「女性自身」2020年5月12・19日合併号 掲載

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