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1月18日から通常国会が始まり、特措法改正など今後のコロナ対応に注目が集まっている。しかし、菅義偉首相(72)の官房長官時代からの悪い口癖である「仮定の質問には答えない」という言葉には、「危機管理の基本と相反する」という指摘がある。ネット上で“仮定おじさん”とまで揶揄される菅首相は、これまでと同じ姿勢で国会を乗り切れるのだろうか。

 

1月7日、首都圏一都三県に2度目となる緊急事態宣言を伝える記者会見で、「延長を想定しているのか」と記者から問われると、菅首相は、「仮定のことについては私からは、答えは控えさせていただきたい。とにかく1カ月でなんとしても感染拡大防止をしたい」と回答。また、8日の『報道ステーション』(テレビ朝日系)でも、緊急事態宣言の再延長や拡大について問われると、「仮定のことは考えないです」と再び回答した。

 

危機管理を専門とする関西大学特別任命教授の河田惠昭氏は次のように厳しく指摘する。

 

「危機管理の観点では、最悪の場合を考えないといけないんです。最悪の事態を想定して、そうならなかったときに『無駄だった』とする言うのではなく、『ならなくってよかった』と思うことが基本です。最悪の事態を想定しておかず、実際に最悪の事態になってから対策をするのでは遅いんです。『仮定の質問には答えない』という回答は、指導者が言うべき言葉ではありません。このようなことを言うならば、トップをやってはいけません」

 

また、同番組で8日の東京都の感染者数が2日連続で2,000人を超えたことについて聞かれると、菅首相は、年末年始の感染者数増加を「想像もしませんでした」と発言し、緊急事態宣言の発出についても、「やはり年末の1,300人。あの数字を見た時に、判断をしなきゃならないのかなという風に思いました」と、己の見通しの甘さと、出てきた数字を見てから科学的根拠なく突然判断したことを自ら明かしてしまった。

 

「今の政府は見守っているだけなんです。ワクチンが出てくれば解決すると思っている。今どうするかを問われているのに、事が起きてから被害を補填する姿勢で、被害額があまりにも大きくなりそうだとさらに様子をみる。全てが後手で、間違っています。

 

コロナは戦争です。戦争で一番やってはいけないのが、“ピースミール・アタック”、つまり戦力の逐次投入です。様子をみて、兵力を増やしていくやり方で、ガダルカナル戦もこれで失敗しました。政府はまさにこれをやっています」(河田氏)

 

菅首相は、まだ官房長官時代の8月時点でも、「事態が収束した後には、特措法の改正も含めて検証する必要がある」と、驚くべき後手後手の発言をしている。「収束後」では目の前の危機に対応できないのは明らかで、結局今になって国会で慌てて議論を始めている。

 

「危機管理という意識がないから噛み合わないのでしょう。今まではこのやり方で致命傷になっていなかったからです。バランス感覚だけで逐次投入して、第1波も第2波もなんとかなった。その小さな成功体験によって“正常化のバイアス”がかかり、『第3波も大丈夫だろう』と思っているのです。有事において、意思決定をする人がこのように危機管理のイロハがわからない人ではダメなんです」(河田氏)

 

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