「マスクと手洗い継続を」医師が“1回接種”の過信に警告
画像を見る ワクチンの接種現場(写真:時事通信)

 

■2回接種でも感染しない訳ではない

 

そもそも、1回だけの接種はもちろん、2回接種を終えた状態ですら気をつけなければならないのだと、筋野院長は念を押す。

 

「2回接種をしたときの効果というのは、感染しても“軽症で済み、重症化しない”というものです。また、2回打って抗体ができているとウイルスが体内で増殖しないので“排菌しにくくなる”、つまり人にうつすリスクは減ります。

 

ただ“感染しない”ということではないので、2回の接種が済んでも、人にうつすリスクが全くないとは言えません。来日した五輪選手がワクチンを2回打っているのにもかかわらず、陽性者が出たこともニュースになりましたが、打ったから100%大丈夫、というものではないのです」(筋野院長)

 

“まずは1回接種”という方針が感染再拡大に影響したのでは、とみられているのがイギリスだ。同国では、5月末から新規感染者数が増大。インドで最初に見つかった変異株であるデルタ株が流行しているためだ。

 

「そもそもイギリスでは、“まずは1回でも接種している人を増やす”という考えから、2回目の接種までの間隔を規定の3〜4週間でなく、12週間としていました。しかし、デルタ株には“1回接種”だと効果が特に低いということがわかってきたのです。ファイザー製の場合、2回接種でのデルタ株の予防率は88%に達しますが、1回では33%だと、イングランド公衆衛生庁は発表しています。今ではイギリスは接種間隔を8週間に短縮しました」(通信社記者)

 

デルタ株は日本でも感染が拡大しつつある。これについて、『感染症予防BOOK』(三笠書房)の著者で元WHO専門委員の左門新さんは、

 

「デルタ株の感染力は従来の1.95倍といわれ、さらに日本人は重症化しやすいともいわれています。今、日本では、従来型からデルタ株への置き換えが進んでいます。秋には感染の9割がデルタ株に置き換わると予測されます」

 

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