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画像を見る 「じじっか」は多くの親子でにぎわっている

 

■死にたかった気持ちもつらかった記憶も、「じじっか」で生かされている

 

じじっかの特徴は、当事者であるひとり親が協力し合って、皆の「困った」を解決していくことだ。

 

「最近、来てはるお母さんもね、心身ともボロボロで。次の検査で数値が改善していなければ彼女は入院、子供は施設入りって宣告されてて。それが、毎週じじっかでご飯食べて皆と話すうちにみるみる元気になって、検査結果も驚くほど改善して。『もう仕事も始められそう』って。それどころか『今度は自分が悩みを聞いてあげる側になりたい』って言うのよね」

 

佐藤さんはこともなげに話すが、樋口さんによれば、その40代半ばの女性は、キレた夫にブロック塀に顔を押しつけられ、前歯が全部折れてなくなるという壮絶な過去を持つ。口癖は「私はもう詰んどる」。じじっかに来ていなければ、明日にも自死しかねない、そんな状況だったという。

 

いっぽう、じじっかメンバーにも、こんな人が。

 

「私も子供たちも救ってもらったから。今度は私たちが誰かを救いたいって、そう思ってます」

 

こう話すのは、じじっかでスタッフとして働く山崎久美子さん(41)。19歳で結婚。自営業でこわもての職人だった夫・真嗣さん、それに4人の子供たちと幸せな家庭を築いていた。ところが、17年4月のこと。

 

「現場から『旦那さんが転落事故で意識不明です』という電話が入ったんです。でも私、まったく信じられなくて。だって、ほんの2時間前、夫と電話で話したから。『夕飯、なんにする?』って。だから、悪い冗談はやめて、っていったんは電話を切ったんですけど」

 

その日から8日間、真嗣さんは意識不明のまま、ついには帰らぬ人に。山崎さんは突如として16歳、8歳、4歳、2歳、4人の子を抱えるシングルマザーになった。

 

「でも全然、実感がわかない。葬儀が終わっても、四十九日を過ぎても『ただいま』って普通に帰ってくるような気がして。私がそうだから、子供たちも。『パパは?』『いつ帰ってくるの?』って子供から聞かれるのが本当につらかった」

 

それでも、日中は気丈に振る舞った。しかし夜、子供たちが寝つきひとりになると、自然と涙があふれてくる。毎日「死にたい」と思い詰めるようになっていた。

 

「この先、どうしていったらいいかもわからなくて。もう、完全にうつ状態でした。それを助けてくれたのが、由恵でした」

 

ウマウの広報・樋口由恵さん(42)は、本業で真嗣さんの仕事仲間だった。

 

「私自身は彼女と親しかったわけじゃないんです。夫が公私をきっちり分ける人だったので私、彼が亡くなるまで由恵と会ったことなかった。それなのに彼女、必ず毎晩、電話をくれて。話すのは本当にたわいもない世間話。それを1時間も2時間も」

 

当時樋口さんは、彼女への電話を「嫌がらせしてただけ」と、うそぶく。

 

「話した内容? くだらない私の愚痴とかかな。『今日、1日中、ズボンのチャック全開で過ごしちゃったよ』とか(笑)」

 

山崎さんはいつしか、そんな樋口さんからの電話が「待ち遠しくなっていた」という。

 

「子供以外、誰とも話すことがない日も多くて。どんどん気持ちが落ちていってしまうなか、由恵との電話のときだけ、つらさを忘れることができたんです」

 

 

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