西成の劇団むすび「看板女優」になった92歳でゲイのおじいちゃん
画像を見る 西成の自室は足の踏み場もないほど物であふれている

 

■公演でみんなが笑ってくれたら嬉しいのよ

 

「女将、汗で化粧が落ちとるやないか。暑いなら1枚、脱いだらどうや?」

 

むすびの公演本番。芝居の冒頭、最初の居酒屋のシーンで、主人公役の男性劇団員がこう言って女将役の長谷さんに語りかけた。すると、ナレーションを務める女性劇団員が小声で「ごめん、ちょっと」と長谷さんを椅子から立たせ、背後から上着を脱がせる。すると中から、仕込んでおいた、あのTシャツが……。

 

「な、なんや女将、いつもそんなセクシーな下着、着てんのか!?」

 

と、口をあんぐり開ける主役男性。あまりのことに観客たちも、ぽかんと口を開け見入ってしまう。

 

「女将、せっかくやから、はい、ポーズ!」

 

主役の言葉に促され、長谷さんはひょいと腰をくねらせる。ここでやっと客席から大きな笑い声が起きた。それを見て、長谷さんも満足そうにうなずいている。

 

「やっぱり皆が笑ったり、喜んだりしてくれたら、僕もうれしいのよ」

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