西里優子さんと父・昌徳さん。優しい父だった 画像を見る

「欧米の状況を見ていれば、オミクロン株の感染爆発はわかりきっていたはず。政府はいったい何をやっていたんでしょうか?」

 

そう怒りを露わにするのは、「自宅放置死遺族会」の共同代表の高田かおりさん(47)だ。昨年8月、高田さんはたったひとりの肉親である弟の竹内善彦さん(当時43)をコロナで亡くしている。

 

オミクロン株の感染爆発をうけて、厚生労働省は「重症化リスクの低い人は、検査や診断なしで自宅療養も可能に」と通達を出した。

 

自宅療養者の数は右肩上がりに増え続け、自宅療養中に亡くなる人も増えている。同会の共同代表の西里優子さん(27)も、こういら立ちを募らせる。

 

「間違いなく家族感染が拡大します。オミクロン株が重症化しにくいといっても、高齢者や基礎疾患がある家族にうつしたら命取りになりかねません」

 

「自宅放置死遺族会」とは、新型コロナウイルスに感染したものの、保健所や病院のひっ迫によって医療にかかれず、自宅で亡くなった人の遺族が昨年9月に立ち上げた会で、現在5家族が参加している。

 

警察庁の調べでは、入院できずに自宅で亡くなった人は、昨年6月末から9月中旬の第5波だけで全国で250人以上にのぼる。

 

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