■積立金が消えれば年金額が激減する
積立金が底を突くとどうなるのか。前出の北村さんは、年金の健康診断ともいわれる「財政検証」(厚生労働省作成)の所得代替率にヒントがあると言う。
「現役男子の平均手取り収入額に対する年金額の比率を『所得代替率』といいます。年金額は夫婦2人の基礎年金と、夫の厚生年金を合算したもの。2019年の最新の財政検証だと、現役男子の平均手取り額は35万7千円で、所得代替率は61.7%。年金額は約22万円となっています」
財政検証では6つのシナリオを検証しているが、経済状況がもっとも悪く、現状に近いといわれるシナリオでは、年金積立金が枯渇した場合、所得代替率は38%になると試算している。物価上昇等を考慮せず、現在のモデル世帯で単純計算すると、年金月額が13万5千660円。なんと8万4千円も減額されてしまうことになる。
時の政権の経済政策の道具として、われわれの将来の命の綱である年金積立金を都合よく使われた結果、こうした未来が現実味を帯びてきている。
「もはや公的年金だけをあてにせず、iDeCoやつみたてNISAなど、個人で対策できる方法を模索していく必要があります」(北村さん)
“100年安心な年金制度”はどこにいったのかーー。
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