ワンオペを強いたが「子育てやった」と主張…岸田首相に少子化対策が期待できない
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■昭和の価値観を根強く持っている岸田首相

 

子育てアドバイザーの高祖常子さんもこう指摘する。

 

「育休によって女性のキャリアが停滞してしまうのは、育児の役割が女性に偏重している日本の特徴。本来、育休取得がキャリア停滞につながらないように、職場環境を整えることが大切です。残業が当然という労働環境や男女の賃金格差が改善されなければ女性のキャリア停滞は続きます。リスキリング以上に働き方改革を進めることが重要です。社会の変化を見ずに、育休中は時間があるだろうから学び直せばいいという発想にはズレがあります」

 

湧き起こる批判に焦ったのか、1月30日の衆議院予算委員会で岸田首相は、「私自身が3人の子供の親。子育てが経済的、時間的、さらには精神的に大変だということは目の当たりにしたし経験もした」と、子育てに積極的な“イクメン”だったことを強調した。

 

ところが、岸田首相の妻である裕子さん(58)は、かつてフリーアナウンサーの有働由美子(53)との対談で「子育ては、今でいう『ワンオペ育児』ですか」と問われて、《そうです。子どもが小さい頃は一人が夜中に熱を出したら他の子をどうするかとか、そういう時は結構大変でした》(『文藝春秋』’22年3月号)と語っている。

 

さらに、本誌の調べによると、自分自身で、子育てにほとんど参加していなかったことを認めてもいる。過去には「育児をやったとなんて言っては僭越です」と語っていた(表参照)。

 

十分な子育て経験がないにもかかわらず、“大変さがわかる”と豪語する岸田首相。どうやら育児や家事など、これまで女性が家庭内で押し付けられてきた仕事を軽視しているきらいがある。過去にも風呂洗いと皿洗いをやっていることをもって、家事を“ちゃんと分担”していると主張している。

 

水無田教授はこう指摘する。

 

「過去に、妻を横に立たせて食事をする写真をツイッターに公開して批判を浴びたこともありました。こうした日常を送っていること自体より、家事や育児を女性に押し付ける“昭和の価値観”を象徴するような写真を公表するとき、『今の時代にそぐわない』と思わなかったことのほうが問題です。そんな女性観の岸田首相が、どこまで女性の活躍を本気で考えているのか疑問が残ります」

 

“家事や育児は女性のもの”というこの女性観、端的に言うと「女性蔑視」は改善するのか……。2月2日の衆議院予算委員会で、同性婚や選択的夫婦別姓の法制化を求められて、「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」と言い放った岸田首相。

 

「多様性が尊重される社会を目指すと語ってきましたが、岸田首相は昭和的家族観を根強く持っています。リスキリングで変革すべき日本の課題には、まさに硬直化した価値観も含まれているのですが、残念ながらそれに気づく様子はみられません」(水無田教授)

 

岸田首相の“異次元の女性観”が改まるのは期待できなさそうだ。

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