《元選手村「晴海フラッグ」3割以上の部屋で居住実態確認できず》
6月6日、NHKが報じたこのニュースで不動産業界に波紋が広がっている。晴海フラッグは東京オリンピックの選手村跡地を東京都が巨額の公費で整備し、住宅を必要とするファミリー向けに販売された。しかし、《分譲マンションの3割以上の部屋で住民票がなく、居住実態が確認できない》ことがNHKの取材で明らかになったのだ。
この報道を受け、SNSでは《やっぱり住んでいなかった》《予想通り》など辛辣な意見があがっている。では、実際に晴海フラッグに住んでいる人たちはどう感じているのか。住民に話を聞いてみた。
「ゴーストタウン化しているというのは本当です。体感ですが、全住戸の3割ぐらいしか住人はいないように感じます。敷地内に新しくできた商業施設『ららテラス』もオープンしたばかりなのに活気がなくて悲惨ですよ。飲食店なんかこの辺りじゃここにしかないのにガラガラ。このままだといずれ撤退するテナントも出始めるでしょうね」
住民の言う「ららテラス HARUMI FLAG」とは3月にオープンしたばかりの、晴海フラッグ内にある唯一の商業施設のことだ。その真偽を確かめるべく、本誌記者は6月初旬の夜に現地に足を運んだ。
ららテラスは3階建て全39店舗というこぢんまりとしたショッピングモールだ。クリニックや美容室などが入居する3階フロアは多くが18時で閉店してしまうこともあってか、文字通り人っ子一人いない状況だった。
2階フロアには100円ショップや書店、そして飲食店が並ぶ。3階と違って各店舗に客の姿はあったがまばら。特に飲食店はディナータイムというのにガラガラで、唯一ファミリーレストランだけが盛況だった。店舗の従業員に話を聞くと、客入りの悪さを嘆くこんな声がーー。
「オープン当初はメディアも集まって賑わっていたのですが、今では平日はずっとこんな感じです。もともと晴海フラッグで暮らす人のためにつくられた商業施設なうえ、テナントも一般的なお店ばかりなので、わざわざ外からやってくるお客さんもいないんですよ」(飲食店スタッフ)
「私は今日ヘルプで初めてここに来たんですけど、他の店舗と比べると明らかに暇で心配になります……」(小売店スタッフ)
不動産ジャーナリストは行き過ぎた不動産投資の弊害を指摘する。
「晴海フラッグの事例は不動産投資が過熱することで生じる様々な問題を浮き彫りにしました。空き部屋が増えると、地域の活力が低下し、商業施設や公共サービスの維持が困難になる可能性もあります。晴海フラッグは子育て世帯が集まることで地域のコミュニティ形成が生まれることを期待されていましたが、住人がいないのではそれも難しいでしょう。このままでは街が寂れていくかもしれません……」