■「断熱」と「節約」で料金高騰を乗り切る
電気代高騰に対して、私たちができる対策はあるのだろうか。加谷さんは「断熱」をすすめる。
「日本の家屋は欧米や中韓に比べて断熱性が脆弱です。窓の多くはアルミサッシですが、アルミは熱伝導率が高い素材。二重窓の設置工事をするだけで、大幅に電気代は抑えられると思います」
加谷さん自身、7年前、自宅マンションのリビング側と外廊下側の窓を断熱性の高い二重窓にする工事を実施。「電気代がトータルで2割ほど減った」という。
「真夏にエアコンの設定温度を25度にしたら寒いほど。真冬も暖房を切って寝ても、明け方まで20度以下に下がりません。防音効果も向上しますので、初期費用こそ20万円ほどかかりましたが、穏やかな生活を手に入れられました」
自治体によってはリフォーム補助制度があるので、調べてみよう。生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんが効果的な「節約」の方法を教えてくれた。
「まず、多くの電力会社が採用しているアンペア契約の状況を確認しましょう。検針票や家庭用分電盤(ブレーカー)にも記されています。次に各電化製品のアンペアの目安を考えます。東電HPを参考にすると、エアコンの冷房5.8Aと、冷蔵庫2.5Aで計8.3A。
これだけなら10A契約ですみますが、ドライヤー(12A)や電子レンジ(15A)などは同時に使えません。それらの最小の組み合わせを考え、ブレーカーが落ちない範囲の最小アンペアで契約しましょう」
たとえば、東京電力の場合、50Aの契約の基本料金は約1558円。30A(約935円)に変えるだけで、約600円の節約になる。契約アンペアの変更はネットや電話で行うことができる。
さらに、この季節に柏木さんがすすめるのは、エアコン使用時のひと工夫だ。
「まずお手入れです。『フィルター掃除を行うことで、年間25%も電気代を節約できる』と、ダイキンがHPで公表しています。
また、複数の家電メーカーによれば、夏は(1)日中はエアコンを『つけっぱなし』にして、こまめに切らないほうが安い、(2)夜はつけっぱなしではなく『こまめに切る』ほうが安い、とされています。
そして、ダイキンの実験では、風量『弱』と『自動』で比較したところ『自動』のほうが、1カ月で電気料金が約990円安くなる結果になったようです。さらに、風向きは『斜め下』ではなく『水平』にしておくと月に約930円も安くなったそうです」
政府や電力会社の値上げに負けないよう、断熱&節約を!