「専業主婦いじめ」60歳未満“遺族年金”給付を5年間に!政府検討案に有識者が怒り
画像を見る 【比較解説】60歳までに子がない配偶者と死別した人が遺族年金を貰える期間

 

■政府が狙っている“第3号”の廃止

 

政府は年金の支出を減らそうとする一方、社会保険料の徴収を増やそうと画策している。

 

パートであっても、年収106万円以上で、勤め先が従業員101人以上の法人など、一定条件を満たした場合、厚生年金に加入し、保険料を支払わなければならないことになっている。保険料を払うことで手取り額が大きく減ってしまう。

 

現在、“101人以上”となっている法人規模要件は、今年10月から“51人以上”に緩和される予定だ。

 

「政府は、この法人規模要件そのものを、いずれは撤廃する方針です」(全国紙記者)

 

さらに、法人ばかりでなく個人事業所にも、厚生年金の適用拡大をもくろんでいるという。現在、従業員数5人以上の個人事業所で働いている人は、製造業や土木業など17業種の場合のみ厚生年金の加入義務がある。だが、今後は業種の制限を撤廃し、これまで対象ではなかった、飲食サービスや理美容業、洗濯業、宿泊業などで働く人にも厚生年金の加入義務が課せられていく方針だ。

 

厚労省の財政検証では、前述のような法人の規模要件の撤廃と、5人以上の個人事業所の非適用の解消を行うことで、被保険者は90万人も拡大すると試算されている。

 

「さらに、短時間労働の賃金要件などを撤廃すれば200万人拡大、加えて5人未満の個人事業所の非適用を撤廃すれば270万人、所定労働時間10時間以上の労働者をすべて被保険者にすれば860万人拡大すると言及しています」(伊藤さん)

 

つまり、主婦が夫の扶養内で働いて、社会保険料の支払いを避けながら家計を支えるような働き方が、将来的に不可能になるのだ。

 

「政府は専業主婦など、社会保険料を払っていない第3号被保険者を、社会保障制度の負担として目の敵にしています」(島澤さん)

 

現行制度では第3号被保険者は保険料を払わないでも国民年金を受給できるが、第3号被保険者そのものをなくそうという動きが政府内にあるという。

 

昨年10月には、年金を所管する厚生労働省の武見敬三大臣が第3号被保険者制度の見直しに言及。政府は、専業主婦の“撲滅”の意図を隠さなくなりつつある。

 

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経済ジャーナリスト

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