7月3日に厚生労働省が発表した財政検証では、被保険者の年齢構成や賃金水準、日本経済の動向など、さまざまな統計をもとに、将来の年金受給額を算出している。その際に重要となるのが所得代替率だ。
所得代替率とは、現役世代の男性の平均的な賃金に対して、厚生年金を受給している夫婦2人のモデル世帯の年金受給額が何パーセントあるかで示される。
2024年財政検証では、平均賃金は月37万円で、モデル世帯の年金額は22万6000円とされ、所得代替率は61.2%となった。この値が50%を下回らないように調整することが法律で定められている。
現在の所得代替率は61.2%だが、国はマクロ経済スライドという制度によって、法律で定められた所得代替率50%を下回らないように、年金を引き下げていくことになっている。
マクロ経済スライドとは、年金受給額の上昇を抑制させる制度のこと。年金は物価や賃金の変動に応じて、受給額も変動する仕組みだが、2004年に導入された「マクロ経済スライド」によって、年金受給額の上昇は抑制されることになった。
抑制される割合はスライド調整率などと呼ばれ、公的年金全体の被保険者の減少率(直近3年の平均)と、平均余命の伸びを勘案した一定率(-0.3%)に、前年度までの繰り越し分を合わせた値。2024年度は-0.6%となっている。
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